自動車事故が起きてしまったら・・・?その心構えと初期対応
自動車を運転している以上、事故に遭遇する可能性はゼロではありません。これはご自身が加害者となるケースの事故のみではなく、ご自身が被害者となるケースの事故も含めてのことです。
どちらのケースにしても、事故に遭遇してしまった時、人は少なからずパニックになってしまうものです。そんな時にこそ冷静な初期対応ができるように、普段から心構えをしておくようにしましょう。
まず相手の安全を優先する ~加害者になった場合~
まず前提として、その場から逃げるのは論外です。100%ではないとしてもご自身が加害者であると考えられる場合には、「相手の安全を確保する」というのが最優先となるでしょう。
相手がケガをしていないか?身体を動かせる状態か?意識はしっかりしているか?などを充分に確認し、路肩へ避難させるなどの対応が必要です。大小に関わらずケガをさせてしまっている場合は、救急へ連絡するようにしましょう。救急隊が到着するまでの間に応急処置が必要な場合は、指示に従って対応するようにしましょう。
また、事故を起こした車や相手の車両などを路肩へ移動させることも必要です。もし車両が動けなくなり道路をふさいでしまっているなどの場合には、発煙筒や三角表示板などを使用して、二次被害の防止となる対応をすることも必要です。
併せて、警察への通報を必ず行うようにしましょう。もしパニック状態になっていたとしても、最低限の対応として警察への通報をすれば、その現場の状況を聞いてもらい、あなたがするべきことを教えてもらえるはずです。
一通りの対応を行った上で、自身にはケガなどがなく余裕がある場合は、保険会社への連絡もその場でしておきましょう。保険会社の担当者が直接現場に足を運ぶことはありませんが、事故対応の窓口へ連絡することで、警察への連絡時と同様に、状況を聞いてもらい、するべきことを教えてもらえることでしょう。そのうえで、事故車両が動かない場合にはロードサービスを呼ぶことになりますので、ロードサービスのオプションが付いている自動車保険に加入している場合は、ロードサービスの手配について指示をもらえることもあるでしょう。
ご自身が加害者である場合であっても、ご自身もケガをしていることもあり得ます。ご自身も救急で搬送されることになった場合などで、その場で保険会社への連絡をすることができない場合もあるでしょう。やむを得ずその場で保険会社へ連絡をできない場合は、60日以内に連絡をすれば対応をしてもらえますので、まずは相手とご自身の安全を確保できるように、できる限りの対応をするようにしましょう。
相手のことを確認し、大事なことは警察や保険会社に任せる ~被害者になった場合~
ご自身が被害者となった場合でも、やるべきことはあります。それは「相手の身元の確認」です。
ご自身がケガをしていない、または軽傷で動ける程度であればということにはなりますが、相手の免許証や車検証などを確認させてもらい、今後の連絡が取れるように連絡先を確認しておきましょう。
あってはならないことですが、万一加害者である相手が逃げてしまった場合のことを考慮すると、相手車両のナンバーだけでも、メモや携帯電話のカメラで撮影などをしておくと良いでしょう。
被害者となってしまった場合においても、加害者となった場合と同様に、お互いの安全の確保と、二次被害防止の対応はしておくのが好ましいでしょう。
警察への通報は加害者から行うことになりますので、被害者であるご自身は必要ないはずですが、もし加害者が通報をしようとしない場合や加害者の方が重傷で動けない場合などは、被害者であるご自身から通報をするようにしましょう。
一通りの対応が落ち着いた時点で、ご自身からも保険会社へ連絡するようにしましょう。もちろんこれはその場で連絡ができる状態にある場合ですので、ご自身が救急搬送をされた場合には、連絡ができる状態になってから速やかに、保険会社へ連絡をするようにしましょう。
しかしながら、相手の100%過失による被害事故の場合、ご自身の保険会社の担当者に示談交渉をしてもらうことができないということもあります。このようなもらい事故の場合は、相手側の自動車保険で補償されることになり、ご自身の加入している自動車保険を利用することがないため、ご自身側の保険会社による示談交渉サービスを受けられないからです。
このようなケースにおいても、弁護士に示談交渉を対応してもらえる費用を補償してもらえる特約が付いている場合もありますので、ご自身の自動車保険を使う可能性がなさそうであっても、まずは保険会社へ連絡をしておくようにしましょう。
被害者でも加害者でも、その場での示談は絶対にしない
ご自身が被害者となる事故に遭遇した時、例えば、お互いにケガもなく、軽微な追突事故であった場合などに、警察や保険会社へ連絡をせずに、加害者である相手からその場で交渉を持ち掛けられるケースがあります。しかし、これには絶対に応じてはいけません。
事故の大きさ、加害者・被害者に関わらず、交通事故が起きた際に警察への通報をすることは、運転者の義務であるからです。その場で示談交渉に応じてしまうと、その日時にその場所で事故があったという「事故証明」を受けることができなくなってしまうからです。事故を証明するものがなくなってしまうと、あとで保険会社へ請求するということができなくなる場合があり得ます。
例えば、夜間の軽微な追突事故で被害者となった時に、加害者である相手本人から「修理代として多めにお金を払うので警察には連絡しないで欲しい」と言われたとします。ご自身の車には軽いキズがついている程度だと思って交渉に応じてしまったところ、改めて翌日車をよく見てみたら、実はバンパーがゆがんでいたといったケースもあり得ます。
また、軽い追突だったのでご自身の体には何の被害もないと思っていたのに、数日後にむち打ちのような症状が出てくることも考えられます。
これらの状況において、たとえ事故の場で受け取った金額では足りないような損害があった場合でも、その時に事故があったことを証明することができないため、改めて相手方の保険会社へ損害賠償を請求することができなくなるという可能性もあるのです。
加害者になってしまった場合はもちろんですが、被害者となった事故においても、必ずその場での警察への通報は怠ってはいけません。
まとめ
どれだけ安全運転をしていたとしても、万一の事故ということは起こり得ます。加害者であっても被害者であっても、その事故の場面ですべきことは何なのかを判断し、きちんと対応をすることでお互いに少しでも良い結果となるように努めることが、正しい運転者の姿ではないでしょうか。
日頃から事故に対する心構えをしておくことが、本当の意味での安全運転につながるのではないかと思います。