介護保険の基礎知識

世界保健機関(WHO)が発表した
2016年版の「世界保健統計」によると、
2015年(平成27年)の日本人の平均寿命は83.7歳で、世界で首位でした。

実は統計を遡ることができる20年以上前から、
日本は長寿世界一の座を守り続けているのです。
男女別で見ると、1955年(昭和30年)時の平均寿命は、
男性(63.6歳)女性(67.75歳)でしたが、
2015年(平成27年)では、男性(80.79歳)女性(87.05歳)となっています。(※)

わずか62年の間に、
なんと約20歳も長生きになっているのです。
まさに第二の人生が生まれたと言えるわけですが、
一方で高齢化や社会保障制度の危機といった、
今日の悩ましい問題も生まれる結果となっています。

長寿を享受し、幸せな老後生活を送るためには、
早いうちから計画的に対処しておく必要があります。
(※厚生労働省「簡易生命表」より)

<STEP1> 老後の生活費

長寿となった現代で、何歳からを老後と呼ぶのでしょうか。
以前は60歳からというのが一般的だったのかもしれませんが、今では65歳どころか、70歳とも言われ、政府も社会保障制度における老後の認識を改正しようという動きがあります。

老後の生活費

しかし、実際の生活を考えたとき、60歳を超えてそれまでの収入を確保できるのかというと、厳しい現実があります。確かに、子どもにかかっていた費用がなくなったり、住宅ローンが終了したりと、支出の状況も変わりますが、安心で豊かな老後生活を過ごすためには、どの位の費用を準備しておけばよいのでしょうか。

<STEP2> 「介護の現状」と「介護の形態」

介護にかかる費用は、病気のときの治療費などよりも、わかりにくいところがあります。
それは、自分や近い身内が介護になってはじめて知ることが殆どであり、かつ病気などと異なり若い時はほぼ経験することがないということが、一番の理由ではないでしょうか。

「介護の現状」と「介護の形態」

また、病気の治療費などの場合、必要なものは大体決まっているのに対して、介護の場合は必要かどうかとは別に、「どこまで求めるか」という要素もあります。例えば有料の老人ホームなどの費用は、施設やサービスの内容によって大きく異なります。
さらに介護の場合は、それが「いつまで続くのかわかりにくい」という点があります。病気などのように完治して元気になるというようなことが望めないことが多いため、かかる費用の総額もわかりにくいのです。

ここでは、介護の現状や、かかる費用の基本について、わかりやすく解説していきます。

<STEP3> 国の介護保険制度

超高齢化社会を迎えたわが国において、年をとり介護や支援が必要となった方が、保健医療サービスや福祉サービスを受けられるように、また介護する家族の負担を軽減し、社会全体で支えられるように、2000年4月に介護保険法が施行(1997年12月制定)されました。

国の介護保険制度

当時、老人医療や社会的入院の増大が財源を圧迫したことから、新しい制度では「介護予防」や「在宅介護」の考えが重要視されるようになっています。例えば、2006年の改正では、介護認定区分を6段階から7段階に細かく規定し直すとともに、介護サービスから介護予防サービスを切り離し、新たに「介護予防給付」が新設されました。

また、在宅介護の推進として夜間、日中を通じての訪問介護・訪問看護サービスが受けられる「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や、小規模多機能型と訪問看護を組み合わせた「複合型サービス」の導入も行われました。
ここでは、介護の柱となる介護保険制度の基本をまとめました。

<STEP4> 保険会社の介護保険について

国の介護保険制度とは別に、保険会社にも「介護保険」があります。

保険会社の介護保険について

この保険は、例えば「健康保険」に対する「医療保険」や「がん保険」、または「遺族年金」に対する「死亡保険」などと同様に、公的な保障の補てんが一つの目的といえます。

また、上限のある公的保障ではとても足りないという人にとっては、自由に設計できる民間の介護保険は非常に重要です。
急速に高齢化が進むわが国においては、社会保険制度のみに頼らず、個人がそれぞれこのような保険を考えることは、今後ますます重要なものとなっていくのではないでしょうか。
そこで、ここでは民間の介護保険について解説していきます。