実際にかかる介護費用や期間

実際にかかる介護費用や期間

介護にかかる費用は、病気のときの治療費などよりも、わかりにくいところがあります。
その理由としては、自分や近い身内が介護になってはじめて知ることが多く、若い時はほぼ経験することがないということ、介護時点での家庭環境によって大きく異なること、病気の治療などと異なり、必要かどうかだけでなく、どこまで求めるかの要素も含まれることなどが挙げられます。

さらに介護の場合は、それが「いつまで続くのかわかりにくい」という点があります。病気などのように完治して元気になるというようなことが望めないことが多いため、かかる費用の総額もわかりにくいのです。

では、一般的にはどのくらいの費用が必要とされているのでしょうか。

介護になった場合の初期費用は?

世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の、公的介護保険の範囲外の費用(※)に対して、初期費用としていくら位必要かという調査結果があります。

必要と考える初期費用の平均は252万円となっています。必要資金の分布をみると「100~200万円未満」が25.0%で最も多いという結果でした。

(※)公的介護保険の範囲外の費用とは、住宅改造や介護用品購入などの初期費用や、月々かかる費用などを指します。

世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の必要資金(初期費用)
1.(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」をもとに作成

一時費用の参考例

●車いす

自走式 4万円~15万円/電動式 30万円~50万円

●車いすリフト(工事費別)

据置式 20万円~50万円/レール走行式 50万円~

●ポータブルトイレ

水洗式 1万円~4万円/シャワー式 10万円~25万円

●特殊寝台

15万円~50万円

●手すり

廊下・階段・浴室用など 1万円~

●階段昇降機(工事費別途)

いす式直線階段用 50万円~

1.(公財)生命保険文化センター「平成24年度 介護保障ガイド」

介護になった場合の月々の費用は?

世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の、公的介護保険の範囲外の費用(※)に対して、月々の費用としていくら位必要かという調査結果があります。

必要と考える費用の平均は16.8万円となっています。必要資金の分布をみると「10~15万円未満」が29.1%で最も多いという結果でした。

(※)公的介護保険の範囲外の費用とは、住宅改造や介護用品購入などの初期費用や、月々かかる費用などを指します。

世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の必要資金(月々の費用)
1.(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」をもとに作成

介護に必要な期間は?

世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の、介護が必要と考える期間はどの位かという調査結果があります。
必要と考える介護期間の平均は169.4か月となっています。必要期間の分布をみると、「10~15年未満」が34.9%と最も多くなっています。
10年以上というと、少し長い印象を受ける方は多いのではないでしょうか。

世帯主または配偶者が要介護状態となった場合の必要期間
1.(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」をもとに作成

仮に、平均の169.4か月に、「介護になった場合の月々の費用は?」の平均月額16.8万円を掛け、「介護になった場合の初期費用は?」の平均額252万円を加えると、合計で約3,097万円の介護費用が必要ということになります。

169.4か月×16.8万円+252万円=約3,097万円

介護費用の合計額

このように、介護にはかなりの費用が必要となります。ゆえになるべく費用を抑えようと家族の介護の時間を増やそうとすると、今度は家族が体を壊したり、また仕事を減らさざるを得なくなり、収入減につながることもあります。

「介護なんて遠いこと」などと先送りせず、最低限の知識を持ち、いざというその時に備えておくことが必要ではないでしょうか。