要注意!学資保険にかかる税金
学資保険では、200万円や300万円など、かなりまとまったお金を受け取ることができます。
「でも学資保険って、税金はかからないの?」
多くの金額を一度に受け取る場合、税金がかかる可能性について心配になる方も多いのではないでしょうか?基本的には税金がかかることはあまりないのですが、受取人を誰にするか?受け取り方をどうするか?などによっては税金がかかってしまう場合がありますので、注意が必要です。
このページでは、学資保険と税金について詳しく解説していきます。
【目次】
学資保険を受け取るときの税金
学資保険に加入すると、受け取ることができる満期金やお祝い金。預金とは異なるため、税金がかかるのではないかと心配な人も多いのではないでしょうか?
結論から申し上げますと、学資保険の給付金を受け取るときに、税金がかかることは「ほとんど」ありません。
但し、「ほとんど」と申し上げているように、税金がかかるケースもありますので、注意が必要です。
それではひとつひとつ解説していきます。
注意点1:増えた金額が50万円以上になると課税対象になる
まず課税されるかどうかの分かれ道として、学資保険の運用で増えた金額が50万円以上になると、課税対象になるため注意が必要です。
学資保険で受け取れる満期金やお祝い金は、所得の一種である「一時所得」になります。(一時所得とは、働いて稼いだ所得や資産の譲渡などで得るような性質を持たない一時的な所得のことをいいます)
●一時所得の計算式
一時所得の課税の計算式は、以下のようになります。
つまり、学資保険で得た利益から50万円を引いた金額が「一時所得」として課税対象となり、その一時所得の1/2の金額を税金として納めなければならなくなります。
●例1.給付金500万円(返戻率115%)の学資保険の場合
給付金500万円(返戻率115%)の場合を例にして、計算してみます。
この場合は、支払った保険料は約435万円(500万円÷115%)となります。
まず一時所得は、上記のような計算方法です。この1/2が支払うべき税金となるので、
となるのです。
●例2.給付金300万円(返戻率115%)の学資保険の場合
給付金300万円(返戻率115%)の場合を例にして、計算してみます。
この場合は、支払った保険料は約261万円(300万円÷115%)となります。
となりますので、一時所得は0円です。
つまり、学資保険によって得た利益が50万円を超えると、課税対象になってしまいます。400万円以上の学資保険に加入する場合には、返戻率などから計算したうえで、利益が50万円以上にならないかどうか確認が必要です。
注意点2:学資年金で受け取ると課税対象になる
学資保険の給付金の受け取り方の種類には「学資年金」という受け取り方があります。
学資保険での通常の給付金は一括で受け取るのが一般的ですが、その給付金を毎年分割で受け取るタイプの保険があります。これを「学資年金」といいます。
前述したとおり、学資保険で受け取った給付金は、通常は「一時所得」です。しかし学資年金で受け取った給付金は「雑所得」という扱いになります。
一時所得は、前述のとおり「働いて稼いだ所得や資産の譲渡などで得るような性質を持たない一時的な所得」でしたが、雑所得は「公的年金や非営業用貸金の利子、原稿料や印税などが該当」し、上記の一時所得より少し「利益」の要素が強くなっています。
同じ学資保険の給付金で、受け取り方が分割になっただけなのですが、かかる税金の種類が変わってきてしまうので注意が必要です。
●雑所得の計算式
雑所得の計算式は以下のとおりです。
※税率は所得合計額によって異なります。
●例3. 学資金総額300万円で、60万円を5分割の学資年金で受け取った場合
(返戻率115.9%、払込保険料総額259万円で計算します)
※税率は所得合計額によって異なります。
となり、8.2万円分が他の所得と合わせて課税対象になります。
上で紹介した例2と同じ条件にもかかわらず、分割で受け取ることで税金が発生してしまうのです。
通常の一括受取のときにかかる「一時所得」の課税に比べて、「雑所得」になるとより低い金額でも課税対象になることが、おわかりいただけると思います。給付金を受け取る際に、学資年金として分割して受け取る場合には、課税対象になる可能性が高いことを念頭に置いておく必要があります。
注意点3:受取人をお子さまにすると「贈与税」がかかる
これまでご紹介した学資保険の支払/受取方法の場合は、親が保険料を払い、給付金を受け取るのも親でしたので、税金の種類は「所得税」でした。
しかし、受取人がお子さまになった場合には、お子さまは保険料を負担していないので、親からお金をもらったのと同じ扱いになり、「贈与税」がかかります。
●贈与税の計算式
贈与税の計算式は以下のとおりです。
税率と控除額は、基礎控除後の課税金額によって異なります。その一覧は下記表のとおりです。
1.国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」をもとに作成
2.平成27年以降の贈与税の税率
●例4. お子さまを受取人として300万円の給付金を受け取った場合
この場合には、以下の計算式になります。
このように、所得税に比べても、支払う税金の金額はとても大きくなってしまいます。
この差は「誰が受け取るか」の違いだけです。当然、税金の分だけ元本割れしやすくもなりますので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
学資保険で受け取る金額は、増やした金額が50万円以上になったり、分割して受け取る学資年金にしたり、受取人をお子さまにした場合には、税金がかかってきてしまう場合があります。
学資保険に加入する際には、この税金対策についてもきちんと知ってから加入するようにしましょう。