火災保険の対象は「建物」と「家財」
火災保険と聞くと、建物が火災になった場合、「建物の損害に対してだけ保険金が支払われる」イメージがありますが、建物とは別に家財にも保険がかけられます。とはいえ、火災保険に加入していれば、自動的に敷地内にある建物や家具などすべてが、保険の対象になるわけではありません。
火災保険の対象は「建物」と「家財」
火災になった場合、敷地内にある「建物だけ」が、保険の対象と思っていらっしゃる方も多くいらっしゃいますが、建物の中にある、冷蔵庫や洗濯機やテーブル、椅子なども、火災保険でカバーできます。
ただし、加入すれば自動的にカバーされるわけではありません。何に対しての保険なのか、「保険の対象」を決める必要があります。
火災保険では、保険の対象を
・「建物」
・「家財」
の2種類に大きく分けます。
「片方にのみ保険をかける」こともできますし、「両方にかける」こともできます。
「建物」「家財」の両方にかけているつもりが、「請求してみたら家財の保険金がおりない!」という悲しいことにならないためにも、「保険の対象は何か」をきちんと理解して決めましょう。
「建物」の補償だけでも大丈夫?
では、火災保険の対象はどのように決めれば良いのでしょうか?
「建物と家財」「建物のみ」「家財のみ」の3パターンから選ぶことになります。
【参考】
・持ち家(戸建):「建物と家財」
・持ち家(マンション):「建物の専有部分」と「家財」
・賃貸マンション:「家財のみ」(※貸主に対する賠償責任を補償する特約と付帯)
例えば賃貸の場合は、建物はご自身のものではありませんので、「家財のみ」対象にします。借りている部屋が火災の火元で損害を与えた場合、大家さんに対して賠償責任を負うことがあるため、大家さんへの損害賠償を補償する特約を付けるのが、一般的です。この場合「家財保険」の特約という形で契約することになります。ご加入中の火災保険があれば一度証券を確認してみましょう。
持ち家(戸建)の場合は、「建物と家財」両方にかけることが一般的です。どちらか一方にすれば、保険料を抑えることもできますが、ご自身がどんなに火の元に気を付けていたとしても、防ぐことができない隣家が火元の場合などのケースも考えられます。万一、火事になった場合のことをよく考えて、検討する必要があります。(※重大な過失である場合を除き、隣家へ損害賠償請求はできません。)
マンションの場合も、基本的には「建物と家財」両方にかけます。
建物(マンション)すべてがご自身のものではないので、「建物」は必要ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自身のものである部分(専有部分)もありますので「建物」も対象とする必要がります。エントランスやエレベーターなどの共有部分は、オーナーや管理組合が保険をかけています。
「建物のみ」に保険をかけている方もいらっしゃいますが、家財も大切な財産です。家財の補償は必要ないと判断して、あえて加入しないのであれば良いのですが、勧められるがまま加入したり目先の金額だけで選んだ方は、一度、保険証券を見て確認してみましょう。
「建物」と「家財」の具体例
それでは、具体的に「建物」と「家財」とは何を指すのでしょうか?
これは建物なのか、家財なのか微妙なものもあり、保険会社によっても違いはありますが、一般的には以下のとおりです。
- ●建物
-
建物に付いていて動かせないもの
(例)
建物の基礎部分、車庫、浴槽、床暖房、便器、調理台、物置、門、塀、畳、ふすまなどの建具など
- ●家財
-
動かせるもの
(例)
家具、テレビ、冷蔵後、洗濯機、パソコン、テーブル、洋服、カーテン、自転車など
一般的にイメージする「建物」よりも広い範囲ではないでしょうか?
例えば、ハンドル操作を誤った車が、塀を壊した場合、建物自体には損害がなくても保険金が支払われます。知らないまま請求されない方も多いので、きちんと理解しておきましょう。
母の形見は「家財」?
基本的には、「建物」以外のものは「家財」とみなされますが、通常の契約では補償対象にならないものもあります。
また、補償のために特約が必要なものもありますので、注意が必要です。
●通常の火災保険の契約では、補償対象にならないもの
・所定金額以上に高価な貴金属や美術品
・現金や小切手、有価証券など
・動物や植物
・データ、ソフトウエア、プログラムなど
・家から持ち出していた家財
・自動車
「家財」を補償対象にした場合でも、貴金属や宝石、美術品など、ひとつが30万円を超えるような高価なものは「明記物件」と呼ばれ、あらかじめ保険会社に申告しておかないと補償の対象に含めることができなくなります。通常の契約では補償されず、特約をつける必要があるため、注意が必要です。
また、現金や有価証券などは家財には含まない場合や、限度額が決まっています。
(例:盗難の場合は補償対象ですが、火災の場合は補償外になる)
お金に換算できない価値あるものは、保険金を受け取れたとしてもその価値が戻るものではありません。被害を避けるためにも、貸金庫などにしまうことも検討しましょう。
そして、自動車は火災保険では補償されないので、こちらも注意が必要です。車庫が火事になって自動車が損害を被っても、補償されません。「自動車保険」でカバーできる場合もありますので、一度ご加入中の「自動車保険」もご確認ください。
また、135㏄以上のバイクなども保険に含まれません。総排気量が125cc以下の原動機付自転車は家財に含みます。
まとめ
うちの中にそんな高価なものはないから「建物だけ」と思われる方も、一度見積もりを取ってみましょう。火事で家が燃えてしまった場合、靴下1枚から購入しなくてはなりません。冷蔵庫も洗濯機もテレビやテーブル、椅子も、すべて買い揃えるとなると大変な金額になります。