火災保険の補償範囲は広い
「火災保険」はその名のとおり、「火事による被害を補償する保険」ですが、補償できるのは火災だけではありません。「火災保険」という名前から、「火災だけ」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、台風や暴風などの風災・水災による被害や、落雷、大雪などによる雪災など、自然災害による被害についても補償範囲にすることができます。さらに、盗難や破損など日常生活における損害についても、補償範囲にすることができます。
これらの補償の範囲は、各保険会社の商品やプランによって異なります。火災の補償を基本補償として、他の風災などの補償は特約として追加し、補償内容をカスタマイズできるものや、補償範囲がパッケージとなっているものなど、さまざまです。
【目次】
火災保険の補償の範囲は広い
火災保険は、「住まいに関して損害が発生した場合の保険」です。
自然災害による被害や、日常生活における損害についても、火災保険で補償することができます。
ただし、加入すれば自動的にカバーされるわけではありません。どのような災害や事故までを補償するかを、決める必要があります。決める前にまず、どのような損害が補償されるのか、一般的な火災保険の補償内容をご紹介します。
●災害など
火災
失火やもらい火などによる火災の損害を補償します。
- 揚げ物の油に火がついて燃え上がってしまい、キッチンが焦げて、壁を張り替えることになってしまった(※)
- 隣家が火災になり、自宅にも延焼し半焼、残った部分も水浸しで建て替えとなった(※)
(※ 建物が保険の対象の場合)
落雷
落雷による損害を補償します。
- 雷が自宅の屋根に落ちて、瓦が吹き飛び、屋根に穴があいてしまった(※1)
- 分配器に雷が落ち、自宅のテレビ2台、ビデオデッキ1台、電話機1台が壊れてしまった(※2)
(※1 建物が保険の対象の場合/※2 家財が保険の対象の場合)
破裂・爆発
ガス漏れなどによる破裂・爆発の損害を補償します。
- ガス漏れ警報器が鳴ってあわててしまい、キッチンの電気をつけたら爆発してしまった
風災・ひょう災・雪災
台風、旋風、竜巻、暴風等の風災、雹災(ひょうさい)または豪雪、雪崩(なだれ)等の雪災による損害を補償します。
- 台風による強風で屋根瓦が破損してしまった(※)
- 竜巻の影響で飛んできた三輪車が自宅の壁にぶつかり、壁に穴があいてしまった(※2)
(※ 建物が保険の対象の場合)
水災
台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の水災(床上浸水等)の損害を補償します。
- 台風で近くの川が氾濫し、床上浸水して、壁の張り替えが必要となった(※)
- 豪雨等で山が土砂崩れを起こし、家を押し流してしまった(※)
(※ 建物が保険の対象の場合)
●災害以外の盗難・事故など
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など
自動車の飛び込みなどによる損害を補償します。
- 自動車が運転を誤って自宅の敷地内に突っ込み、壁を壊してしまった(※)
(※ 建物が保険の対象の場合)
漏水などによる水濡れ
給排水設備の事故や他人の戸室で生じた事故に伴う漏水による水濡れ損害を補償します。
※給排水設備自体に生じた損害を除きます。
- 給水管が破裂して室内が水浸しになり、家財が損傷してしまった(※)
(※ 家財が保険の対象の場合)
騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為
集団行動等に伴う暴力・破壊行為による損害を補償します。
- 自宅前で破壊行為が発生し、自宅の塀や壁が破壊されてしまった
盗難による盗取・損傷・汚損
盗難による盗取(とうしゅ)や損傷・汚損などの損害を補償します。
- 空き巣が室内に侵入し、ドアを壊されてしまった(※1)
- 空き巣に室内の家財を盗まれてしまった(※2)
(※1 建物が保険の対象の場合/※2 家財が保険の対象の場合)
不測かつ突発的な事故(破損・汚損)
誤って自宅の壁を壊した場合などの偶然な事故による損害を補償します。
※すり傷などの外観上の損傷または汚損であっても、その機能に支障をきたさない損害は補償の対象となりません。
- 掃除中に壁にものをぶつけて、壁を破損してしまった(※)
(※ 建物が保険の対象の場合)
以上が一般的な補償の範囲です。
なお、補償する範囲が広い商品ほど保険料も高くなりますので、内容をきちんと理解し、ニーズに合わせて選択する必要があります。
自然災害のうち、地震による火災や倒壊などについては、地震保険を付帯(セット)して契約する必要があります。
地震の被害だけは別
費用保険金ってなに?
火災保険は損害保険ですので、実際に発生した損害の実費を補償します。
(建物・家財などの損害に対して支払われる保険金=損害保険金)
例えば、火災に遭うと火災後の片づけや、家に住めなくなった場合のホテル代など、さまざまな費用がかかります。このような費用を補償する目的で、損害保険金とは別に受け取れる保険金が「費用保険金」です。
まとめ
補償の範囲は思いの外広いですし、費用保険金なども保険会社によって、さまざまな種類があります。
現在では、火災保険の契約内容のシンプル化が目指されています。とはいえ、まだまだわかりにくい部分もたくさんあります。また、保険期間が長期にわたるものにご加入されている方は、現在も補償内容は契約当時のままです。たくさんの特約がついていたり、費用保険金が自動的にセットされている可能性もあります。
きちんと内容を知らなければ、いざという時にスムーズに請求できません。心当たりのある方は、一度契約内容を確かめておきましょう。