建物の構造を確認しましょう
火災保険の保険料は、その建物の構造や地域によって異なります。
建物の構造判定については、保険料の過払問題(保険料の払いすぎ)の原因のひとつでもありました。
用途によって分類
まずは、該当物件の用途によって、下記のように分類されます。
- 住宅物件
- 一般物件
- 工場物件
- 倉庫物件
住宅物件・一般物件に該当するケースがほとんどかと思います。
住宅物件は、戸建てやマンションなど専用住宅・共同住宅などが主な対象です。
一般物件は、事務所や店舗などほかの3物件を除くものが該当します。
お店を併設している住宅(店舗併用住宅)は、一般物件となります。
「M構造」「T構造」「H構造」
火災保険は、「その建物の主要構造部が何でできているか」で保険料が異なります。
それは、主要構造部が木材なのかコンクリートなのか、鉄筋なのかで、火災や災害時の損害に差が生じるからです。主要構造部というのは具体的に、「柱」「梁」「床」「外壁」「屋根」「小屋組」となります。しかし、こういった判定基準は2010年の火災保険の改定によって簡素化されました。
具体的には、木造・鉄骨造・コンクリート造などの「建物の種類」(上記と異なり柱の材質のみをみる)、「耐火性能」(耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物)によって構造級別の判定を行います。
●建物の種類
- 住宅物件:「M構造」「T構造」「H構造」の3つに分類されます。
- 一般物件:「1級」「2級」「3級」の3つに分類されます。
保険料は、「M構造」が一番安くなり、つづいて「T構造」「H構造」となっています。
マンションやアパートに住んでいる方
共同住宅(マンションやアパート)に住んでいる方は、まずは建物がコンクリート造か調べてみましょう。
共同住宅でコンクリート造なら、構造級別は「M構造」です。
コンクリート造でなかった場合、その建物が耐火建築物なら、「M構造」です。
コンクリート造や耐火建築物ではなくて、鉄骨造の場合は「T構造」と判断されます。
また、準耐火建築物や省令準耐火建物の場合も「T構造」となり、どれにも当てはまらなければ「H構造」となります。
一戸建てに住んでいる方
一戸建てに住んでいる場合は、「T構造」か「H構造」のどちらかになります。
鉄骨造やコンクリート造であれば、「T構造」です。
また、準耐火建築物や省令準耐火建物の場合も「T構造」となり、どれにも当てはまらなければ「H構造」となります。
木造の建物の場合でも、法令上の耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建物に該当するかどうか、必ず確認しましょう。
構造判定は何を見ればわかる?
構造判定は、2010年に火災保険の改定が行われたことで、簡単になりました。
外観から判断ができないようであれば、建物の概要が記載されている資料で判断します。
●「建物の種類」の確認(コンクリート造、鉄骨造等)
- 建物登記簿謄本
- 宅地建物取引業法に基づく重要事項説明書
- 不動産取引の書類 など
●耐火建物、準耐火建物、省令準耐火建物の確認
- 施工会社や住宅メーカーなどの業者からの証明書
- 住宅金融支援機構の特約火災保険の保険証券
- 建築確認申請書(耐火建物、準耐火建物)
- パンフレットや設計仕様書(省令準耐火建物)
購入してから何十年も経過すると、書類を紛失しているケースも多くあります。大切に保管しておきましょう。
まとめ
構造級別の判定を誤ったまま契約していると、保険料の過払い(保険料を多く払う)や、万一の事故で保険対応できず、トラブルになります。実際、2006年に「保険料過徴収問題」として話題になったことがあります。ツーバイフォー住宅は、ほとんどのものが「省令準耐火建物」の基準を満たしており、T構造とみなされることが一般的なのですが、判定が複雑だったため、多くの住宅がH構造として契約されていました。
また、火災保険には「オール電化割引」や「新築物件割引」など保険料を安くする割引が用意されています。
「契約してそのまま」という方は、一度見直してみてはいかがでしょうか。