所得補償保険はどんな人に向いている?
ここまで、公的制度やその他の保険と比較して、所得補償保険(就業不能保険)について考えてきました。
改めて加入を検討するにあたり、「私は会社員だから所得補償保険は必要ないの?」とか「私は自営業だから所得補償保険はやっぱり必要?」などと悩むこともあるかと思います。
では実際に、所得補償保険が必要な人、向いている人とはどのような人なのでしょうか?
自営業の人が検討しておきたい、所得補償保険の必要性
まず、自営業や個人事業主の方の場合は、「国民健康保険」や「国民年金」への加入となりますので、会社員の方と比べると、一部の公的保障しか受けられない可能性がありますので、所得補償保険を検討する必要性は高いのではないかと考えられます。
自営業や個人事業主の場合は、病気やケガで治療をするために働けなくなったら、多くの場合はその期間の収入を得られなくなることになります。このように無収入になってしまう状況にも備えられるのが所得補償保険であると考えられます。
会社員の人が検討しておきたい、所得補償保険の必要性
会社員の方であれば、「社会保険」や「厚生年金」にも加入していれば、さまざまな公的保障を受けることができます。業務外での病気やケガについては「健康保険」の「傷病手当金」、業務中や通勤中の病気やケガについては「労災保険」の「療養補償給付(療養給付)」や「休業補償給付(休業給付)」など、さまざまな状況に応じて、国から保障を受けることのできる可能性があります。
ですが、例えば、「傷病手当金」の場合には、実際に働いた場合の給料の全額ではなく、3分の2に相当する額を受け取ることになりますので、結果的には稼ぎが減る、とも考えられます。そして傷病手当金には、支給開始から最長1年6ヶ月までという制限もあります。
それでも何もないよりは・・・と考えられますが、業務外の病気やケガであれば、治療費や入院費はご自身で出さなければなりません。
このような公的制度とあわせて、個人的に「医療保険」「がん保険」などに加入していれば、こちらもさまざまな状況に応じて、治療費や入院費に対する保障を保険会社から受けることのできる可能性があります。
ただし、これらについても例えば、医療保険の場合、入院している間の治療費は保障してもらえても、通院や自宅療養となる場合には、それらに関する特約などを付けない限りは保障されません。あわせて、通院や自宅療養中の期間における生活費も当然必要ですが、その期間中に働けない場合の収入も同様に保障されません。
貯蓄が充分であれば、「傷病手当金」や「休業補償給付(休業給付)」にあわせて、貯蓄を取り崩すことでそれなりの生活をすることはできるかもしれませんが、働けない期間が長期になってしまった場合、「傷病手当金」は支給開始から1年6ヶ月までと定められていますし、貯蓄にも限界はあります。それにいざ職場復帰をしたとしても、それまでの貯蓄を使い切ってしまっている可能性も考えられます。
ご自身の環境や他の保険とあわせて考え、バランスの良い保障を
所得補償保険の目的としては、「万一、病気やケガで働けなくなった時の、収入減に備える保険」であるということは、おわかり頂けましたでしょうか。
医療保険などにはすでに加入していて治療費への備えはできていたとしても、どれくらいかかるかわからない治療期間について、その間もご自身や家族は生活をしていかなくてはなりません。生活費の心配をせずに治療に専念できると考えれば、ご自身にとっての「所得補償保険の必要性」が見えてくるのではないでしょうか?
医療保険やがん保険、傷害保険などの場合、その病気やケガの治療費に備える保険ではありますが、その期間の収入減に備える目的としての効果は薄いでしょう。そうかといって、所得補償保険のみに入るということも、そもそもの病気やケガに備えるための保険ではありませんので、考えにくいものです。
現在のご自身の生活環境や収入、将来のご自身や家族のために残したい貯蓄、そしてご自身や家族の万一に備えるためのさまざまな保険。
それぞれをきちんと理解、把握したうえで、バランスの良い保障を考えて持つことにより、ご自身や家族が不安や不自由がなく暮らしていける、本当の意味での「備え」を持つようにしましょう。