変額保険の特徴と種類

変額保険の特徴と種類

一般的な生命保険においては、死亡保険や個人年金保険などのように支払われる保険金が変動しない「定額保険」であり、経済成長や物価の上昇など、いわゆる「インフレーション(インフレ)」が起きた場合でも、実際に支払われる保険金は変わりません。
例えば、保険金額が1,000万円の定額である死亡保険に加入して、その30年後に亡くなった場合、支払われる死亡保険金は1,000万円のままですが、もしその30年の間に物価が10倍になっていた場合、その死亡保険金の価値は1/10(100万円相当)になっていると考えられます。

これに対して、支払われる保険金などの金額が変動するのが「変額保険」です。ここでは「変額保険」について、その特徴などの基本的なしくみについてご紹介します。

変額保険の特徴

●変額保険には主に以下のような特徴があります。

  • 保険会社が契約者から預かった保険料の一部を、他の保険種類と区別した特別勘定において、株式や債券を中心に運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金の金額が増減する
  • 死亡保険金、高度障害保険金については、運用実績にかかわらず最低限の保険金額(基本保険金額)が保証されている
  • 基本的に満期保険金や解約返戻金には最低保証がないため、運用実績が良くないと元本割れをすることがある
  • 一般的には定額保険に比べて保険料が安い

このように、定額保険とは異なる特徴を持つものが変額保険です。満期保険金や解約返戻金などを含め、受け取る時の保険金総額が加入時に決まっている(いくら受け取れるかがわかる)のが「定額保険」、加入時に決まっている(いくら受け取れるかがわかる)のは最低限額を保証されている死亡保険金や高度障害保険金(基本保険金額)のみで、それ以外の保険金額については変動する可能性のあるのが「変額保険」となります。

定額保険と変額保険の比較

変額保険の種類について

変額保険にも種類があり、保険期間が一定の「有期型(変額有期保険)」と、一生涯保障が継続する「終身型(変額終身保険)」があります。
また、個人年金保険の変額タイプもあります。
※下記の内容は一般的な変額保険商品のイメージであり、取り扱う保険会社によって内容が異なります。

●変額有期保険(有期型変額保険)

変額有期保険(有期型変額保険)のイメージ
※満期保険金が払込保険料総額を下回ることがあります。

  • 保険料を一定期間払い込み(10年以上)、その期間運用をして満期になると、運用実績によって変動した満期保険金が一括で支払われる。また、契約期間中に死亡または高度障害状態となった場合には、運用実績によって変動した死亡保険金または高度障害保険金が支払われる。
  • 死亡保険金および高度障害保険金には最低保証があるので、加入時に決められた基本保険金額を下回ることはないが、運用実績が良かった場合は基本保険金額を上回る場合もある。
  • 満期保険金および解約返戻金には最低保証がなく、運用実績により元本を上回る場合も下回る場合もある。
●変額終身保険(終身型変額保険)

変額終身保険(終身型変額保険)のイメージ

  • 保険料を終身または一定期間払い込み、契約期間中に死亡または高度障害状態となった場合には、運用実績によって変動した死亡保険金または高度障害保険金が支払われる。
  • 死亡保険金および高度障害保険金には最低保証があるので、加入時に決められた基本保険金額を下回ることはないが、運用実績が良かった場合は基本保険金額を上回る場合もある。
  • 解約返戻金には最低保証がなく、運用実績により変動するため、元本を上回る場合も下回る場合もある。
●変額個人年金保険

変額個人年金保険のイメージ
※年金原資や死亡給付金に最低保証がない場合もあります。

  • 保険料を一定期間または一時払いで払い込み、一定期間の運用後に、運用実績によって変動した年金原資を、運用期間後から年金で受け取ることができる。
  • 年金支払開始前に死亡または高度障害状態となった場合には、運用実績によって変動した死亡保険金または高度障害保険金が支払われる。その保険金額には、最低保証のあるタイプと、それまでの払込保険料の積立金額を保険金として受け取るタイプがある。
  • 年金原資や年金受取総額には最低保証がなく、運用実績により払込保険料の総額を上回る場合も下回る場合もある。(※最低保証のあるタイプを取り扱う保険会社もある)
  • 解約返戻金についても最低保証がない。(※最低保証のあるタイプを取り扱う保険会社もある)
  • 年金受取開始後の年金年額が定額で変わらないタイプと、年金受取開始後の年金年額も、その後の運用実績によって変動するタイプがある。

まとめ

変額保険や変額個人年金保険に加入する場合は、資産の運用方法(運用資産の種類や評価方法、資産の運用方針)や、商品のしくみ(資産の運用実績によって将来受け取る保険金などの額がどのように変動するのかなど)について、生命保険会社が説明することになっています。不明な点については遠慮なく充分な説明をしてもらい、きちんと納得したうえで加入するようにしましょう。