変額保険のメリットとデメリット
変額保険はハイリスク・ハイリターンの保険といわれています。変額保険の基本的な特徴をざっくりというと、保険会社による運用実績によって、保険金や解約返戻金の金額が変動する保険です。
では、いざ私たちが加入した場合に、この「変動する」という点によって、どんなメリットがあるのか、逆にどんなデメリットがあるのか、本格的に加入を検討する前にきちんと理解をしておく必要があるでしょう。
ここでは、変額保険の種類別(終身型・有期型・変額個人年金保険)のそれぞれについて、そのメリットとデメリットを知ることにしましょう。
【目次】
お手頃な死亡保障を持つなら ~変額終身保険のメリットとデメリット
変額終身保険(終身型変額保険)は、死亡保険金や高度障害保険金については「基本保険金額」が決められるので、万一の時に最低いくら受け取れるのかという金額がわかるものになります。これに加えて、保険会社による運用実績によっては、解約返戻金の金額が変動します。
亡くなったり高度障害状態になったりした時点において、運用実績が良ければ、受け取れる保険金が基本保険金額+αの金額を受け取ることができ、もし運用実績が悪かった場合でも、最低限受け取れる金額は決まっていますので、最低限の「死亡保障」は保証されていることになります。
また、定額の死亡保険と比べると、保険料がお手頃となっていますので、「死亡保障を持つ」という目的であれば、終身型変額保険を持つメリットはあるでしょう。
ただし、途中で解約する可能性がある場合は、メリット・デメリットのどちらの可能性もあると考えられます。
解約返戻金の金額については、基本保険金額がなく、解約した場合に戻ってくる金額が保証されていません。途中で解約をした時点までの運用実績が良ければ、解約返戻金の金額が増えた状態で返ってくる可能性もありますが、逆に運用実績が悪ければ、解約返戻金の金額が減った状態で返ってくることになります。
場合によっては元本割れをする可能性もありますので、目的を良く考えて、終身型の変額保険を検討すると良いでしょう。
- ●変額終身保険のメリット
-
- 最低限の死亡保障(基本保険金額)が保証されている
- 運用実績が良ければ受け取れる死亡保険金や高度障害保険金の金額が増える
- 運用実績が良ければ解約返戻金が増える
- 定額の死亡保険と比べて保険料がお手頃である
- ●変額終身保険のデメリット
-
- 解約返戻金には最低保証がない
- 運用実績が悪ければ解約返戻金が減る(損をする可能性がある)
インフレ対策としての長期的運用なら ~変額有期保険のメリットとデメリット
※満期保険金が払込保険料総額を下回ることがあります。
変額有期保険(有期型変額保険)においても、終身型と同様に、死亡保険金や高度障害保険金については「基本保険金額」が決められるので、万一の時に最低いくら受け取れるのかという金額がわかるものになります。また保険金や解約返戻金の金額についても同様に、保険会社による運用実績によって変動します。
終身型とは違い満期保険金がありますが、こちらは最低保証はありません。例えば、10年定期の変額有期保険に加入して、10年後に満期を迎えた時に運用実績が悪かった場合、受け取れる満期保険金額が、それまで払い込みをしてきた保険料よりも元本割れをすることもあります。
満期が来た時に運用実績が悪かったからといって、満期保険金額を受け取らずに契約を更新するということはできませんので、この時点では損をすることになる可能性もあります。
長期的に見ると、変額保険のそもそものメリットである「インフレに強い」という点を考慮して、有期型の変額保険に加入するという方法は考えられますが、何事もなく満期を迎えた際に受け取れる満期保険金が安定しないことも踏まえると、死亡保障にこだわるような方には、あまり向いていないとも考えられます。
ある程度の貯蓄を持っている前提で、投資感覚で資産運用をしたいという場合には、検討してみても良いかもしれません。
- ●変額有期保険のメリット
-
- 最低限の死亡保障(基本保険金額)が保証されている
- 運用実績が良ければ受け取れる死亡保険金や高度障害保険金の金額が増える
- 運用実績が良ければ受け取れる満期保険金の金額が増える
- 運用実績が良ければ解約返戻金が増える
- 定額の養老保険と比べて保険料がお手頃である
- ●変額有期保険のデメリット
-
- 解約返戻金、満期保険金には最低保証がない
- 運用実績が悪ければ受け取れる満期保険金の金額が減る(損をする可能性がある)
- 運用実績が悪ければ解約返戻金が減る(損をする可能性がある)
投資や資産運用の方法として ~変額個人年金保険のメリットとデメリット
※年金原資や死亡給付金に最低保証がない場合もあります。
変額個人年金保険では、保険料を一定期間払い込み、一定期間の運用後に、運用実績によって変動した年金原資を、運用期間後から年金として受け取ることができます。
なお、契約時に保険料を一時払いで払い込むタイプのものは、「一時払変額個人年金保険」と呼ばれます。例えば、定年退職をした際の退職金など、当面の生活費などを差し引いてもまとまったお金がある場合には、定期預金に近い感覚で一時払いを選ばれることがあります。
変額個人年金保険では、年金受取開始後の年金年額にもタイプがあります。
受取開始後の年金年額が変わらない定額タイプの場合は、受取開始から何年間は決まった年金年額を受け取れるということになりますが、受取開始後の年金年額もその後の運用実績によって変動する変額タイプもあり、その場合は受け取れる年金年額が一定ではないことになりますので、どちらのタイプなのかを契約時にきちんと確認しておく必要があります。
定額個人年金保険と比較すれば、運用実績によって将来受け取ることができる年金年額が変動するという点においては、定額保険と変額保険の比較と同様です。
もちろん同様にメリットとデメリットがあり、運用実績が良ければ受け取れる年金年額(年金原資)が元本を上回りますが、運用実績が悪ければ受け取れる年金年額(年金原資)が元本割れをする可能性もあります。
(※年金原資について最低保証のあるタイプを取り扱う保険会社もあります)
死亡保障や高度障害保障についても、最低保証のあるタイプと、それまでの払込保険料の積立金額を保険金として受け取るタイプがあります。そのため、最低保証のないタイプの場合は、死亡保障としての価値は低くなると考えられます。
- ●変額個人年金保険のメリット
-
- 運用実績が良ければ受け取れる死亡保険金や高度障害保険金の金額が増える
- 運用実績が良ければ運用期間後に受け取れる年金年額(年金原資)の金額が増える
- 定額の個人年金保険と比べて保険料がお手頃である
- ●変額個人年金保険のデメリット
-
- 運用実績が悪ければ受け取れる死亡保険金や高度障害保険金の金額が減る
(※最低保証のあるタイプを取り扱う保険会社もあります) - 運用実績が悪ければ運用期間後に受け取れる年金年額(年金原資)の金額が減る
(※最低保証のあるタイプを取り扱う保険会社もあります)
- 運用実績が悪ければ受け取れる死亡保険金や高度障害保険金の金額が減る
他の変額保険と比べてみても、変額個人年金保険については、「安定した老後の資金の確保」というよりも「投資や資産運用が目的」というイメージの強い商品です。投資や資産運用に興味がある方は、検討してみるのも一つの方法でしょう。
ちなみに、通常は「円建て」で運用をしますが、ドルやユーロなどの「外貨建て」で運用をする変額個人年金保険もあります。この場合は、為替変動の影響も受けることになるため、さらにハイリスク・ハイリターンとなる可能性があります。