名古屋市も義務化へ!自転車事故の補償、きちんとお持ちですか?

県や自治体が加入の義務化をはじめている「自転車の保険」。
兵庫県、大阪府、滋賀県。そして、2017年10月には名古屋市、鹿児島県、続いて2018年4月から京都府でも義務化となります。他の自治体でも義務化への検討が進んでいます。

義務化されてはじめて検討される方もいらっしゃるかもしれませんが、普段自転車に乗られる方に、ぜひ知っておいていただきたい情報をお伝えします。

全国に広がる自転車保険の義務化

  • 2015年10月 兵庫県
  • 2016年7月 大阪府
  • 2016年10月 滋賀県
  • 2017年10月 名古屋市・鹿児島県
  • 2018年4月 京都府

(※2017年9月現在)

自転車に乗る人すべての人が対象となります。
自転車に乗るお子さまの保護者も対象となります。

自転車事故は全交通事故の約2割!

自転車に乗っていて、ヒヤッとしたことはありませんか?
平成28年度の交通事故の件数は、約50万件。そのうち自転車事故は、約9万件です。
1日約250件の自転車事故が、全国のどこかで発生していることになります。

全交通事故件数と自転車事故件数
※総務省 統計局「平成28年における交通事故の発生状況」をもとに作成

特に子どもは視野も狭く、遊ぶことに夢中になって周りが見えなくなってしまったりするため、お子さまが自転車に乗る時は、特に心配です。

年代別の自転車事故による負傷者数をみてみると、15歳以下が17.2%。
40%が24歳以下の若者。20%が65歳以上の高齢者となっています。

自転車乗用中の年齢層別負傷者数(2016年)
※総務省 統計局「平成28年における交通事故の発生状況」をもとに作成

9,000万円以上の損害賠償例も!

ご自身やご家族がケガをする心配ももちろんありますが、自転車事故は相手に大ケガをさせてしまう可能性もあります。

大きなニュースになったので、記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれませんが、2013年に神戸地裁が下した9,521万円もの損害賠償命令。この判決は、小学5年生の子どもが歩行中の女性と衝突し、後遺症を負わせてしまった事故に対するものです。

もちろん、「事故を起こしたのが子ども」であろうと、高額な損害賠償金を払わなくてはなりません。子どもだから損害賠償金額が低くなるといったこともありません。事故を起こした子どもの親が、その損害賠償金を負うことになります。

事例1
※神戸地方裁判所、平成25年7月4日判決

事例2
※東京地方裁判所、平成20年6月5日判決

車を購入したら、「自動車保険」に加入する方がほとんどかと思います。
上の事例からもわかるように、自転車も乗り方次第では危険な乗り物になります。このような万が一の事故に備えて加入するのが「自転車の保険」です。

自転車保険の中身を見てみましょう

義務化と聞いて、新たに「自転車保険に加入しなければ!」と思っている方も多いのではないでしょうか?

実は、自転車向け保険の中身はこのような形になっています。
「自転車保険」=「傷害保険」+「個人賠償責任保険」

「ご自身のケガの備え」と「相手への補償」。大きく分けて2つの保険が組み合わさったものです。
この2つの保険がセットになっているのが、主に「自転車保険」という名前で販売されているものですが、必ずセットで加入しなくてはならないものではありません。

自転車向け保険=傷害保険+個人賠償責任保険

まずは、相手への補償。個人賠償責任保険

前述のとおり、特に対人事故では高額賠償に至るケースが増えています。
自治体が義務化にしているのは、こういった相手に損害を与えてしまった場合の補償としての「自転車損害賠償保険等」への加入です。

●個人賠償責任保険

個人賠償責任保険は、自転車事故以外にも日常生活の中で、他人に対してケガをさせてしまった場合や他人のモノを壊してしまったりして、法律上の損害賠償義務を負った時の補償です。

例えば、

  • 子どもが誤って友達にケガを負わせてしまった
  • スキーをしていてケガをさせてしまった
  • 買い物に行った際、誤って商品を落として壊してしまった

など、日常生活のさまざまな損害賠償をカバーします。

●加入方法

個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険に加入されている方なら、特約で付帯できる可能性もあります。特約の名称も保険会社によってさまざまですので、一度確認してみてください。
付帯されていることを確認できたからといって、まだ安心ではありません。注意していただきたいのは「自動車との事故のみ」など、補償範囲が限られているものもありますので、きちんと内容も確認しておいてください。

自動車保険に付けられる個人賠償責任特約ってどんなもの?

●家族で重複して加入していないか

被保険者の範囲が広いのが一般的。夫婦で重複して加入する必要はありません。

●火災保険や自動車保険で特約が重複していないか

火災保険、自動車保険、傷害保険など特約が重複しているかもしれません。

●示談交渉サービスが付いているか

ご自身が加害者となったとき、被害者と直接交渉するのは大変なストレスです。

●補償額は1億円以上か

相手に重篤な被害を与えてしまった場合、高額の賠償金額となる場合も。

●職務中の事故は補償されない

補償されないケースもきちんと確認しておきましょう。

ご自身やご家族のケガの補償は、傷害保険

病気やケガの保障なら、医療保険で備えていらっしゃる方も多いかと思われますが、1点注意していただきたいのが、医療保険の「通院給付金」についてです。

医療保険の「通院給付金」は多くの場合、入院をした場合に支払われます。通院だけでは支払われないので、保険証券などで一度確認しておきましょう。

一方、傷害保険は入院しないケガに対しても「通院給付金」が支払われます。お子さまがいらっしゃるご家庭や、趣味でスポーツなどをされる方には安心です。

傷害保険の基礎知識

医療保険と傷害保険の違い

「自転車保険の義務化!」と聞いて、慌てて加入する前に、一度加入されている保険の内容を確認してみましょう。義務化になっていない地域の方も、良い機会ですので、ご自身やご家族の補償。相手への補償。まずは確認するところからはじめてみてはいかがでしょうか。内容がわからない時は、保険代理店や保険会社に確認してみましょう。

ちなみに、道路交通法が改正され、平成27年6月1日から危険な違反行為を繰り返す運転者(3年以内に2回以上検挙された場合)には、自転車運転者講習を受けるよう義務づけられるようになりました。
危険行為とは、信号無視、一時不停止、酒酔い運転、ブレーキが利かない自転車の運転などの14項目です。自転車運転者講習を受けなかった場合は、5万円以下の罰金が科されます。対象年齢は、14歳以上です。

自転車に乗る時は交通ルールを守って、安全運転を心がけましょう!

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