【子どもの病気】インフルエンザ|症状、予防、治療など

インフルエンザは、毎年1,000万人以上が発症する感染症です。感染力が非常に強く、幼稚園や保育園など、集団の中ではあっという間に感染が拡大します。
現在は薬による治療が行えるようになっており、6種類の治療薬があります。しかし、必ずしもその治療薬が適さないことがあり、重症化すると命の危険を伴います。インフルエンザは、予防することが大切な感染症です。

インフルエンザとは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする感染症です。インフルエンザの感染力はとても強く、人が集まるところではどんどん感染が拡大します。

インフルエンザウイルスの感染経路には、飛沫感染と接触感染があります。

●飛沫感染

感染した人の咳やくしゃみなどから周囲へ飛散し、近くにいる人の口や鼻から体内に入り込むことで感染します。

●接触感染

インフルエンザウイルスが付着した手でどこかに触れると、そこに触れた別の人の手を介しても感染します。

インフルエンザは、世界的に大流行することが知られています。例えば、1918年にはスペインかぜと呼ばれるインフルエンザの大流行が起こり、全世界での死亡者数は2,000万人とも4,000万人ともいわれています。その後に世界的な大流行となった事例として、1957年のアジアインフルエンザ、1968年の香港インフルエンザがあります。2009年には、メキシコで発見された「新型インフルエンザウイルス」による大流行がありました。

新型インフルエンザは、インフルエンザウイルスが突然変異を起こしたもので、数十年に1回の割合で変異が起こるといわれています。新型に対応した免疫を持つ人がいないため、ワクチンの開発も間に合わない場合は、世界的な大流行となります。

インフルエンザは、全患者数を正確にカウントするのではなく、定点となる医療機関(全国に5,000カ所)からの報告数を元に、おおよその患者数を推計しています。また年をまたいでの流行となるため、今シーズンとは「2018-2019年」をさしています。国立感染研究所のインフルエンザウイルス分離・検出速報によるいと、今シーズンの患者報告数から年齢別の割合は、0~4歳が16.0%、5~9歳が32.2%、10~14歳が20.2%を占めています(2019年2月12日時点)。0歳から14歳までの乳児と児童だけで、全体の68%以上を占めていることになります。

年齢別割合(2018-2019年/2019年2月12日現在)
※国立感染研究所「インフルエンザウイルス分離・検出速報」をもとに作成

●インフルエンザの種類

インフルエンザはA型、B型、C型に分類されます。このうち流行の原因になるのは、A型とB型です。
A型・B型のインフルエンザの流行には季節性があり、一度流行し始めると短期間で感染が拡大します。日本では例年12月~3月が流行期で、推定1,000万人以上が感染すると予測されています。この期間に流行する型のインフルエンザを「季節性インフルエンザ」と呼びます。

インフルエンザは、その年によって流行する型が変わります。これまでにインフルエンザに罹ったことがある方はインフルエンザウイルスに対する免疫がありますが、その年に流行している型に合った免疫が無いと、何度も感染し発症することがあります。

一方、誰も免疫を持っていなかった新型インフルエンザでも、世界中に拡がり多くの人が感染するようになると、新型インフルエンザに対する免疫を持つ人が増えます。2009年に発生した新型インフルエンザも、現在は季節的に流行を繰り返すようになり、2011年4月から季節性インフルエンザとして扱われるようになりました。

インフルエンザの症状

インフルエンザの症状

●インフルエンザの症状

インフルエンザの主な症状には38℃以上の発熱、頭痛、咳、くしゃみ、筋肉痛、関節痛、全身の倦怠感などがあります。また、熱性けいれんや肺炎、気管支炎などといった合併症が見られることもがあります。しかし、多くの場合は、発症しても1週間~2週間で完治します。

感染は、乳幼児から高齢者まですべての年齢層にみられます。中でも比較的免疫力が弱い乳幼児や高齢者は、重症化しないよう早めに診断を受け、適切な治療を受ける必要があります。重症化とは、脳症や肺炎等を合併して入院するような病状のことで、場合によっては死亡することもあります。特に注意が必要なのは、呼吸器等の慢性疾患を持つ高齢者です。

また、乳幼児や児童は、「インフルエンザ脳症」を合併して意識障害を起こすことがあります。2009年から2015年の6シーズンでは、合計748例のインフルエンザ脳症が報告され、0~4歳と5~9歳に多くみられました。

シーズンごとのインフルエンザ脳症報告数の年齢群別割合(2009~2015)
NIID国立感染症研究所「感染症発生動向調査」より(2015年10月18日現在)

●かぜとインフルエンザの違い

かぜの原因は、さまざまな病原体(細菌やウイルス)への感染です。症状としては、のどの痛みや鼻水、発熱、頭痛、全身の倦怠感などがあります。原因となる病原体によって、感染の状況や発症する病気は変わります。

インフルエンザもかぜの一種ではありますが、その症状はかぜよりも重く、進行が早く、周りへの感染力が強いという特徴があります。特に、全身の倦怠感が強く、38℃を超える発熱が急に起こるような場合は、インフルエンザの可能性があります。
一般的な軽いかぜであれば2~3日、長くても1週間程度で自然治癒しますが、インフルエンザでは1~2週間かかり、重症化すると危険なため、早めに医療機関を受診する必要があります。

インフルエンザの予防

感染症とは、

  • 病原体(細菌やウイルス)が存在する
  • 病原体が体内に入ってくる経路がある
  • 病原体から体を守ろうとする免疫力が低い(あるいは免疫がない)

という、3つの条件が揃うと発症します。病原体が体の中に入った時点で「感染した」ことになりますが、体の中にある免疫がその病原体に勝てば、症状は現れないため「発症」はしません。しかし、免疫が病原体に負けてしまうと、何らかの症状が現れて「発症」します。
つまりインフルエンザを予防するためには、この3つの条件を絶つことが必要です。

特に、乳幼児から児童(子ども)は、免疫力が十分ではなく、集団感染を起こしやすいため、しっかりと予防する必要があります。また、65歳以上の高齢者、妊娠中の方、慢性気管支炎や肺気腫がある方、気管支喘息のある方、心疾患のある方、慢性腎不全のある方、血液透析を受けている方、糖尿病などの代謝異常がある方、ステロイド剤などによる免疫不全のある方は、免疫力が低下している可能性がありますので、子どもと同様に、しっかりと予防しましょう。

●予防接種

インフルエンザの病原体から身体を守るためには、病原体に近づかない、病原体を体内に入れない、病原体に勝つ免疫を獲得する、という方法があります。このうち「病原体に勝つ免疫を獲得する」ために行うのが、予防接種です。予防接種とは、何らかの病原体に感染する前に体の中にその病原体を取り込むこと(※)で、特定の病原体に対する免疫を獲得するために行われます。これにより、実際に病原体に感染した時に、体の中にある免疫が働いて発症を抑えることができます。

インフルエンザの予防接種は、流行時期よりも前(10~11月頃)にワクチンを接種し、ウイルスに勝てる免疫を獲得するために行います。インフルエンザワクチンは、ウイルスが持つ「人を病気にする力」を弱めたもので、毎年どの型のウイルスが流行するかを予測して製造されます。また、インフルエンザワクチンの有効期間は約1年間ですので、毎年、予防接種を受ける必要があります。

※病原体を取り込む:ワクチンには生ワクチン(病原体の毒性を無くしたもの)と、不活化ワクチン(病原体の感染力、増殖力を無くしたもの)の2種類があります。インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」です。

●その他の予防:手洗い、マスクなど

インフルエンザの予防には、手洗いとマスクの装着も有効とされています。これは「病原体を体内に入れない」ための方法です。

手洗いを正しく行うことで、手指に付着したインフルエンザウイルスを洗い流すことができます。また、アルコール消毒剤で手指を消毒することも、インフルエンザ予防には効果があります。ただし、手に傷があるときはアルコールの使用により痛みや刺激を感じることがあるので、使用は控えた方がよいでしょう。

外出時にマスクを装着すると、周りの人の咳やくしゃみに含まれる病原体を口や鼻から吸い込む「飛沫感染」が予防できます(ただし、マスクだけで100%予防できるとは限りませんので、手洗いやその他の予防策も併せて行うことが必要です)。自分自身が感染している場合も、周囲への拡散を防ぐことができます。

例えば、インフルエンザの流行時はなるべく人混みを避けることも必要で、これは「病原体に近づかない」ための方法です。

他にも、日頃から十分な栄養とバランスのとれた食事を心がけることで免疫力を高め、インフルエンザウイルスと戦える体を作ることが必要です。

さらに、乾燥した空気は気道粘膜の防御機能を低下させ、インフルエンザにかかりやすくなるため、室内では加湿器などを使用して適度な湿度を保つことも大切です。

インフルエンザの治療

インフルエンザウイルスは、感染すると、体の中で急激に増殖します。そのため、かぜよりも強い症状がみられ、急激に悪化します。インフルエンザ治療薬を服用することで、その後のインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果が期待できます。

現在のところ、日本で使用できるインフルエンザ治療薬には、以下のような薬があります。

  • オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル等)
  • ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)
  • ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)
  • ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)
  • アマンタジン塩酸塩(商品名:シンメトレル等)(A型にのみ有効)
  • バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)

ただしこれらの薬は、インフルエンザの症状が出始めてからの時間や、患者さんの病状により、その効果が変わってきます。実際にどの薬を使用するか、あるいは薬を使用しないかの判断は、診察の結果として医師が行うことになります。

一般的には、発症(何らかの症状が出始めたとき)から48時間以内に、薬の服用を開始することが有効だといわれています。発症からごく早期に治療を開始すれば、インフルエンザウイルスはそれ以上増殖できなくなるため、発熱する期間が1~2日間短縮できます。また、口や鼻からのウイルス排出量も減少できると考えられています。
しかし、発症から48時間を過ぎてしまうと、インフルエンザウイルスはすでに増殖してしまっているため、薬の十分な効果が期待できないともいわれています。
つまり、発症したらしばらく様子をみるのではなく、ごく早期に受診して迅速に検査を行い、インフルエンザと診断されたらすぐに治療を始めることが大切です。

特に一般的な「かぜ」とインフルエンザは、ごく初期の症状が似ているため、ご自身では判断ができません。インフルエンザを発症していても、症状がごく軽い場合は、「かぜかな?」と自己判断してしまうことがあります。しかし、インフルエンザが流行する時期であったり、地域でインフルエンザの感染拡大が確認されたら、症状が軽いと思っても自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

家族がインフルエンザにかかったら

家族がインフルエンザにかかったら

同居している家族がインフルエンザかもしれないと思ったら、まずは医療機関に連絡して受診しましょう。その際、他の患者さんなどへの感染拡大を予防するために、受診時間や受診方法、待合室の利用方法などについて、電話などで確認するようにしましょう。

受診後、インフルエンザ治療薬などによる治療が始まっても、すぐに症状が消えるわけではありません。次のような症状がみられる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

●大人
  • 呼吸が苦しそう、息切れしている
  • 3日間以上、発熱が続く
  • 症状が悪化してきた、あるいは全く改善しない
  • 胸の痛みが出た、あるいは胸の痛みが治まらない
  • おう吐や下痢などの消化器症状がある
●小児

お子さんがインフルエンザを発症したときは、次のような症状に注意しましょう。

  • 痙攣(手足を突っ張る、白目になる、体ががくがく動く)
  • チアノーゼ(顔が土気色になった、あるいは青白くなった、唇が紫色)
  • 呼吸が苦しい、呼吸が速い(1分間に60回以上)、呼吸が浅い、肩で呼吸する、ゼーゼーする
  • 意識障害(呼びかけに答えない、ぼんやりしている、うつろな目をしている)
  • 水分が取れず脱水になる

特に2歳~5歳くらいの子どもは、インフルエンザ脳症の可能性が高くなります。考えられる症状としては、両親の顔がわからない、幻覚が見える、意味不明なことを言う、呂律が回らない、何かにおびえる、急に怒る・泣く、大声で歌う、などがあります。これらの症状がみられたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
インフルエンザ脳症は、強い解熱剤で悪化する可能性があるため、自己判断での服用は避けましょう。

家庭内で一番身近にいる人は、家族からの感染も十分に考えられますので、家の中でもマスクをしたり、こまめに手洗いをすることも必要です。

インフルエンザと登校

インフルエンザは「学校保健安全法施行規則」により、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」は、登校してはならないと定められています。
ここでいう「発症」とは、発熱した初日をさします。つまり、木曜日に発熱により発症した場合、翌週の火曜日までは登校できません。なおかつ、熱が下がってから2日間ですので、土曜日に熱が下がれば翌週の火曜日から登校できますが、翌週の月曜日まで発熱が続いた場合は、木曜日まで登校できないことになります。

インフルエンザの流行拡大は、学校での感染が考えられますが、特に小学校の低学年では、毎年のように、インフルエンザによる学級閉鎖がみられます。その理由は、大きく2つのことが考えられます。

一つは、免疫力が十分ではないため、感染から発症へと移行することが多いためです。
もう一つは、予防策に関することです。小学校の低学年では、手洗いなどの予防策を十分にとることが難しく、なおかつ、毎日が集団生活となることが、インフルエンザの流行を拡大させる要因になると考えられています。

まとめ

インフルエンザは感染力が非常に強く、一般的なかぜと比べて症状が重いという特徴があります。場合によっては命に関わる可能性もありますので、予防に重点をおくべき感染症です。特に小児では毎年のように流行が拡大し、学級閉鎖や学校閉鎖が相次いでいます。合併症である「インフルエンザ脳症」の発症率は、0歳~9歳がもっとも多くなっています。

人気の記事

  • 2019.8.8健康

    肺がん検診とは|検診の流れ、検査方法、費用など

  • 2019.3.26健康

    胃がん検診とは|検診の流れ、検査方法、費用など

  • 2019.3.11マネー

    どう変わった?知って納得!配偶者控除丸わかりガイド

  • 2019.2.19健康

    大腸がん検診とは|検診の流れ、検査方法、費用など

  • 2019.2.11マネー

    今さら聞けない!知って納得!国民年金と厚生年金の違いとは

  • 2019.1.30健康

    乳がん検診とは|検診の流れ、検査方法、費用など