今さら聞けない!知って納得!国民年金と厚生年金の違いとは

老後の生活の基盤として欠かせないのが年金制度です。
しかし、なかには国民年金や厚生年金のしくみをしっかり理解していないという人もいるのではないでしょうか。年金には国民年金や厚生年金など様々な種類があるので、それぞれどういった違いがあるのかしっかり理解しておくことは大切です。
そこで、今回は国民年金と厚生年金のしくみと違いについて詳しく解説していきます。

将来困らないように、年金に関してしっかり理解を深めておきましょう。

国民年金(基礎年金)とは

国民年金は基礎年金と呼ばれるもので、20歳以上60歳未満の国民は全員加入することになっています。厚生年金に入っていないという方は、すべて国民年金の第1号または第3号の被保険者となります。

●第1号被保険者

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生、無職の方とその配偶者が入ることになる保険です。

●第3号被保険者

厚生年金保険や共済組合等に加入している公務員、会社員に扶養されている配偶者が入る保険になります。原則的に20歳以上60歳未満の方で、年収が130万円未満の方が対象です。

国民年金の保険料は定額で、支給される金額は加入期間に応じて決まります。満期である40年間加入していれば満額もらえますが、それより少ない場合はもらえる額が少しずつ減っていきます。

平成30年度の国民年金第1号被保険者、任意加入被保険者の1か月当たりの保険料は、16,340円です。口座振替や現金払い等に対応しており、前納すると保険料が割引される制度もあります。口座振替の前納の場合、2年前納なら15,650円、1年前納なら4,110円、6か月前納なら1,110円の割引が受けられます。

厚生年金と国民年金の違い

厚生年金というのは、基礎年金(国民年金)に上乗せして給付される年金のことです。厚生年金を払っている人は、基礎年金額に厚生年金額が加算され、その合計額を受け取ることできます。

●第2号被保険者

会社員や公務員、一定の条件を満たしたパート職員などです。

厚生年金保険の対象者は、会社員や一定の条件を満たしたパート職員などです。基本的に個人事業主は国民年金の第1号被保険者になりますが、条件によっては厚生年金に強制加入されるケースもあります。その条件は、従業員が常時5人以上いる場合です。しかし、飲食店などのサービス業は対象外となっています。またこの条件に当てはまらない場合でも、従業員の半分以上が加入に同意すれば、申請することで任意加入できます。

企業年金と個人型確定拠出年金(イデコ)とは

国民年金と厚生年金以外にも、会社によって企業年金の制度が設けられていることがあります。企業年金は、従業員の福利厚生の一環として会社が任意に、厚生年金に上乗せして給付を行う制度です。企業年金は主に①厚生年金基金、②確定給付企業年金、③確定拠出年金(企業型)の3つに分類されます。

●①厚生年金基金と②確定給付企業年金

①と②は「確定給付型」と呼ばれるもので、あらかじめ確定している給付額を賄うために必要な掛金を、企業が拠出するというものです。給付額が確定している点で従業員にとっては安心ですが、運用成績が良くない場合は、企業が不足分の穴埋めをすることもあり、会社の業績や運用実績により給付減額の可能性もあります。

●③確定拠出年金(企業型)

一方の③確定拠出年金は、企業が拠出する従業員ごとの掛金額が確定しているというものです。運用については従業員自らが行うので、その運用次第で将来の年金額が変わるというものです。企業は運用リスクを負うことなく、運用の結果は自己責任となります。

このような企業年金を運用している企業にお勤めの方の場合、国民年金と厚生年金に加えて企業年金も支給されるため、老後の保障がかなり手厚くなります。日本の年金制度は以下のような構造になっており、「企業年金」は3階部分に含まれています。

年金保険制度

また、中小企業の中には、中小企業退職金共済制度というものがあります。中退共と呼ばれるもので、独自に退職金制度を運用できない中小企業向けの退職金制度です。これを運用している企業なら、退職時に退職年金として受け取ることができます。

●個人型確定拠出年金(イデコ(iDeCO))

確定拠出年金(企業型)に対して、個人型確定拠出年金(イデコ(iDeCO))という自分で作る年金制度もあります。加入者が毎月一定の金額を積み立て、金融商品を自ら運用することができます。20歳以上60歳未満で日本に在住している方なら、原則誰でも始めることができるものです。積み立てた金額すべてが所得控除の対象となり所得税や住民税を節税できる点、また60歳以降年金を受け取る時に公的年金等控除や退職所得控除の対象になるなどの税制のメリットがあります。運用した資金は、60歳以降に年金または一時金で受け取ることが可能です。

国民年金と厚生年金の保険料

国民年金の保険料は定額で、毎年見直しが行われています。平成30年度は月額16,340円です。厚生年金に加入している被保険者(65歳以上70歳未満で老齢または退職を理由とする年金の受給権を有する人以外)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は、国民年金の第3号被保険者になります。そのため、保険料を自分で納付する必要はなく、保険料納付済期間として将来の年金額に反映されます。

厚生年金の保険料は、標準報酬月額と標準賞与額に対して同じ保険料率を掛けて計算されます。保険料の半分は加入者である自分、もう半分は会社が負担することになっているので、すべてを自分が負担する必要はありません。

厚生年金保険料率は年金制度改正に基づいて段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月から18.3%で固定されています。現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から31等級(62万円)に分かれています。標準賞与額とは、実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもので、支給1回につき、150万円が上限となります。ただし、年3回以下の回数で支給されるものに限ります。

国民年金と厚生年金の保険料

毎月の保険料の納付については、所得が少ないなど保険料を納めることが難しい場合は、①保険料免除制度と②納付猶予制度があります。

●保険料免除制度

所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人から申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。

●保険料納付猶予制度

20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、本人から申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。
※平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となります。

保険料を全額免除された期間の年金額が2分の1(平成21年3月分までは3分の1)になってしまうという点には注意が必要です。また、保険料の未納期間は年金額の計算対象期間にはなりません。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の違いとは?

老齢基礎年金と老齢厚生年金の違いとは?

基本的に65歳になると、国民年金から老齢基礎年金、厚生年金から老齢厚生年金を受け取ることができます。

●老齢基礎年金

老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間保険料を収めた場合、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。満額の場合の年金額の目安は、779,300円です。(平成30年度)
加入期間によって、受け取れる年金額が変わります。

●老齢厚生年金

厚生年金の被保険者期間があり、老齢基礎年金を受け取るのに必要な資格期間を満たした人は、65歳になった時に老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取ることができます。ただし、60歳以上の方で老齢基礎年金を受け取るのに必要な資格期間を満たし、厚生年金の被保険者期間が1年以上ある場合には、65歳になるまで特別支給の老齢厚生年金が支給されます。特別支給される老齢厚生年金の額は、報酬比例部分と定額部分を合わせた額です。しかし、昭和16年4月2日以降生まれの男性、昭和21年4月2日以降生まれの女性は定額部分の支給開始年齢が引き上げられています。昭和24年4月2日以降生まれの男性、昭和29年4月2日以降生まれの女性は、報酬比例部分のみの額になります。
受け取れる年金額は、加入期間と在職中の収入によって変わります。

厚生労働省が公開している平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、年金支給額は国民年金が平均月額で5万5千円、厚生年金は14万7千円となっています。

受給者の平均年金月額(平成29年)
厚生労働省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに作成
※厚生年金保険の平均年金月額には、基礎年金月額を含む

平均年金月額は前述のとおりですが、特に老齢厚生年金については、収入によって受け取れる年金額も変わります。いくらくらい受け取れるか計算しようと思ったけれど、複雑すぎて諦めたという方も多いのではないでしょうか。きちんと倶楽部では、簡単な質問に答えるだけで老後の年金などを「シミュレーション」できるサービスもご用意しています。一度登録すればいつでも見ることができますので、ぜひお試しください。

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障害年金はどうなるの?

病気やけがをして障害が残ってしまった場合、国民年金から障害基礎年金を受け取ることができます。厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金が上乗せされます。

●障害基礎年金の年金額

●1級

779,300円×1.25+子の加算

●2級

779,300円+子の加算

※平成30年度の年金額

となっており、等級によって支給額が異なります。
※子の加算:第1子・第2子 各224,300円/第3子以降 各74,800円

●障害厚生年金の年金額

●1級

(報酬比例の年金額)×1.25+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕

●2級

(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕

●3級

(報酬比例の年金額)※最低保障額 584,500円

※平成30年度の年金額

1級と2級の配偶者の加給年金額に関しては、その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金、障害年金を受け取れる間は配偶者加給年金額は支給停止されるので注意してください。

障害厚生年金を受け取るためにはいくつか条件を満たさなければなりません。まず厚生年金に加入している間に、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けている必要があります。また一定の障害状態にあること、初めて医師の診察を受けた月の前々月までに公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について保険料が納付または免除されていることなども支給要件に含まれています。

遺族年金の違いは支給対象にも注意!

一家の働き手が亡くなった場合、国民年金から遺族基礎年金を受け取ることができます。亡くなった人が厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金が上乗せされます。

●遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金に加入している人が何らかの理由で死亡した場合、その人によって生計を維持されていた子どものいる配偶者、または子どもに対して支給される年金です。老齢基礎年金などのように、65歳から受け取れるという条件はありません。

遺族基礎年金の受給できる条件は、国民年金加入者または老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人が死亡した場合です。しかし、保険料納付済の期間が加入期間の3分の2以上でなければなりません。納付済みの期間というのは、保険料免除期間も含みます。

死亡した国民年金加入者の子どもがいる配偶者、もしくは子どもが受給の対象者になりますが、この場合の子どもとは18歳になった年度の末日までとなります。しかし、障害を持った子どもの場合20歳になった年の末日まで支給されます。

遺族基礎年金の年金額

779,300円+子の加算

※平成30年度の年金額

※子の加算:第1子・第2子 各224,300円/第3子以降 各74,800円

●遺族厚生年金

遺族厚生年金の場合は、子どものいない妻および、その他の人も受け取ることができます。その他というのは、55歳以上の夫、父母、祖父母、18歳未満の孫、20歳未満で1、2級の障害者などが当たります。なお、夫の死亡時に子どものいない妻が30歳未満の場合、遺族厚生年金は5年で打ち切られるので注意が必要です。

遺族厚生年金を受給するためには、厚生年金加入者が在職中に亡くなった場合、老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人が死亡した時などいくつか条件を満たす必要があります。

遺族厚生年金の年金額

(報酬比例の年金額)×3/4

※平成30年度の年金額

遺族給付について
※国民年金と厚生年金保険の被保険者期間がある場合
※上記以外に第1号被保険者独自の給付として、「寡婦年金」、「死亡一時金」があります

遺族が受け取ることができる年金額や受給期間は、亡くなった人が加入していた公的年金制度や加入期間、収入、妻の年齢や子どもがいる、いない、子どもの人数などにより計算も複雑です。きちんと倶楽部では、簡単な質問に答えるだけで遺族年金などを「シミュレーション」できるサービスもご用意しています。ぜひ参考にしてみてください。

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厚生年金と国民年金の切り替えとは?

厚生年金と国民年金の切り替えとは?

就職や退職などをして、働き方が変わった場合には加入する年金制度の切り替え手続きが必要です。

●国民年金→厚生年金

無職の人や自営業の人、学生の人が会社に就職した場合、公務員となった場合には国民年金から厚生年金への切り替えが必要となります。この場合、第1号被保険者から第2号被保険者への変更手続きを行わなければなりません。厚生年金へ加入する場合は、勤務先の会社を経由して手続を行います。この時加入者は年金手帳か基礎年金番号通知書を提出します。

●厚生年金→国民年金

厚生年金から国民年金への切り替えを行う場合は、第2号被保険者から第1号被保険者へ変更手続きを行います。厚生年金への変更手続とは異なり、国民年金への変更手続は自分で行わなければなりません。退職した日から14日以内に、居住地の市区町村役場の国民年金担当窓口で手続を行ってください。

●配偶者が扶養に入る場合

配偶者が扶養に入る場合は、第1号もしくは第2号被保険者から第3号被保険者に認定されます。保険料は扶養者の加入する厚生年金制度で一括して負担することになります。手続きは勤務先の会社を経由して行います。

備えておきたい保険とは?

会社員の方は、健康保険や介護保険、年金保険など収入の多くを社会保険料として支払っています。会社と折半とはいえかなりの負担に感じますが、保険に入っていることでさまざまな保障が受けられるので、決して損をしているわけではありません。
厚生年金に加入している人の場合、その家族は公的な保障が手厚くなります。万一のことがあっても遺族に対して比較的手厚い遺族年金が給付されたり、病気やけがをした場合には健康保険から傷病手当金などが給付されるのです。

一方、国民年金だけで厚生年金に入れない人は、老後の年金額が少なくなってしまいます。国民年金だけでは不安という方は、個人向け確定拠出年金(iDeCo)や付加年金などの備えが必要です。

こういった公的年金以外のサービスで国民年金への上積みをしておけば、将来への備えとなります。

まとめ|将来の年金額はねんきん定期便で確認しよう!

自分が将来どのくらいの年金額を受け取れるのかわからない、という方も多くいらっしゃるかと思います。そういう時は、「ねんきん定期便」を活用してみてください。ねんきん定期便を利用すれば、将来の年金額を確認できます。ねんきん定期便は、「ねんきんネット」のユーザIDを取得することで利用可能です。ねんきん定期便を利用して、自分が将来受給できる年金額を確認して、老後に備えましょう。もし受給される年金額が少なく不安に感じたら、保険のプロに一度相談してみてください。

また、きちんと倶楽部では、老後の年金や亡くなった時の年金をシミュレーションできるサービスもご用意しています。この他にも加入保険をネットで簡単に管理できるサービスやコンピューターがあなたの保険を即時に診断してくれるサービスなど便利な機能も充実しています。ぜひ一度確認してみてください。ご利用には会員登録(無料)が必要です。

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