源泉徴収票って何のためにあるの?源泉徴収票まるわかり活用法!

年末が近づくと、冬のボーナスや年末調整でいくら戻ってくるか、が気になる人もいるのではないでしょうか。年末に会社から発行される源泉徴収票に関しては、あまり気にも留めない人もいるでしょう。漠然と、年収がわかる書類という認識はあっても、他の項目の意味や金額の情報が何を意味するか把握していない方も多いのではないでしょうか。
年間の医療費に高額がかかれば、少しでも税金を取り戻す助けにもなってくれます。大切な場面で源泉徴収票が必要になることもあります。そこで、ここでは源泉徴収票の内容と活用法について解説していきます。

源泉徴収票の役割とは?

源泉徴収票を、毎月の給与明細を年間で集計したもの、と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。当たらずとも遠からずなのですが、実際は違います。源泉徴収票とは、会社が行ってくれる確定申告の証明書のようなものです。つまり、年間の給与の支払額と、それに対する所得税と復興特別所得税の税額を証明する書類です。会社独自の書類ではなく、国税庁で定められた法定調書に当たります。

年に1度、年末調整のとき、または年度途中で中途退職したときに会社から発行されます。年末調整は、各人の扶養人数や各種保険の保険料などに応じて控除額を計算した上で正しい所得税額を再計算することが目的です。毎月の給与から天引きされていた所得税と、年末に再計算した正しい税額を照合し、多く天引きしていれば本人に戻し、足りなければ追加で徴収することになります。といっても、あらかじめ所得税額を多めに見積もって天引きしているため、年末には多少の税金が戻ってくることが多いです。

このように、最終的に決定した所得税額と復興特別所得税額を源泉徴収票の用紙にまとめ、本人控えとして渡しているのです。この源泉徴収票によって、年間の給与所得の金額が確認できます。給与以外に収入がある場合や、医療費控除などを受ける際には、確定申告や還付申告で使用するため、大切に保管しておく必要があります。

源泉徴収票が必要になるケース

源泉徴収票が必要になるケース

源泉徴収票は会社から発行された後は、手元に大切に保管しておきましょう。いつ源泉徴収票が必要になるかわからないからです。源泉徴収票が必要になる主なケースをご紹介します。

●確定申告をする場合

必ず源泉徴収票を添付する必要があります。年収が2,000万円を超えたとき、給与以外の副収入が20万円を超えたときや、2か所以上から給与を受け取っている場合も確定申告が必要です。年の途中で会社を退職した場合も、確定申告をして正しい税額を計算し不足分を支払うか、超過分の還付請求を個人で行います。また、会社員が住宅ローンでマイホームを購入した場合、初年度に限り確定申告をする必要があります。

●退職から1年以内に転職(再就職)するとき

前の会社で発行してもらった源泉徴収票を、新しい勤務先に提出しましょう。これで、前の勤務先で支払った税額と新たに支払った税額を合算して、新しい勤務先で年末調整をしてもらえます。もし手元に源泉徴収票がない場合は、前の勤務先に再発行をしてもらわなければなりません。再発行が間に合わなければ、自分で確定申告をする必要があります。

●住宅ローンを申し込むとき

金融機関に提出して融資の審査を受けるために源泉徴収票が必要です。この年収を基に、借入額と月々の返済額が妥当であるかを判断するためです。ところが、源泉徴収票は会社によっては社印が押印されていないところもあります。偽造などの不正を疑われないためにも、金融機関に提出する際には、源泉徴収票に社印を押してもらいましょう。

●扶養親族になる場合

退職時の源泉徴収票が必要になることがあります。たとえば、結婚を機に勤務先を退職してご主人の扶養に入る場合は、配偶者の認定の手続きをします。その際に、年間の合計所得金額が38万円以下、または給与のみの場合は給与収入が103万円以下であることが要件のため、源泉徴収票で証明しなければなりません。同様に、会社に勤務していた子どもや親が退職をして無職になった場合に、一時的に扶養に入れることもあるでしょう。その際は、年間の見込み収入額が年間収入130万円未満、60歳以上または障がい者の場合は、年間収入180万円未満などの一定の要件を満たす必要があります。

●子どもの保育園の入園申し込み

両親の源泉徴収票が必要です。なぜなら、各家庭の両親の所得を合算した額によって、月々の保育料が算出されるためです。また、待機児童が多い場合は、収入の少ない世帯や緊急性を鑑みて優先的に入園が決まることがあります。また、源泉徴収票があれば、就労を証明することにもなるのです。

ほかにも「賃貸住宅の入居申し込み」や「クレジットカードの入会申し込み」などでも、所得証明や勤務先の確認書類の1つとして源泉徴収票を提出することがあります。また、「事故に巻き込まれた場合」などでも、休業補償の収入を証明する書類として源泉徴収票の提示を求められるケースがあります。転職先の会社で、前職の給与額を参考に給与額を決定する場合などでも源泉徴収票が必要になることもあります。

源泉徴収票の記載内容

源泉徴収票に記載されている主な項目の内容について解説していきます。

給与所得の源泉徴収票

●「①支払金額」

その年の1月1日から12月31日までに支払われた給与と賞与の課税対象額を合計した額です。いわゆる年収と呼ばれるものです。非課税扱いの通勤手当は除外されています。

●「②給与所得控除後の金額」

個人事業主のように会社員にも必要経費を認めるという趣旨で、収入に応じて控除できる金額を差し引いたものです。収入によって段階的に決められた計算式で求めます。

●「③所得控除の額の合計額」

配偶者や子ども、親などの扶養人数に応じて「配偶者控除」や「扶養控除」が受けられます。また、各自が個人的に支払っている各種保険や住宅ローンに応じて控除される金額を足したものです。

●「④源泉徴収税額」

給与所得に対する年間に支払うべき税金の額です。基礎控除や配偶者控除、保険料控除などの控除分を差し引いてから、正しく計算し源泉徴収された所得税額となります。

家族に関する所得控除とは?

前述「③所得控除の額の合計額」は、給与所得から引くことのできる所得控除を合計したものです。控除が多いほど、納めるべき税金が安くなります。給料から控除できる所得控除は、大きく「養う家族」と「必要な支出」に関するものにわけられます。

まずは、「家族に関する所得控除」についてみていきましょう。

家族に関する所得控除

家族に関する所得控除には、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除があります。
扶養する親族が多ければ、その分生活費もかかるため所得税の負担を減らすための制度です。会社に届け出た書類により、扶養の種別と人数に応じた控除が受けられます。特に、その年に生まれた子どもがきちんと扶養対象になっているかどうか、源泉徴収票の扶養対象者の人数欄に誤りがないかを確認しておきましょう。実際の人数より少なく記載されていれば所得税額を多く支払っていることになりますので、早めに修正してもらいましょう。

他の控除として基礎控除というものがあり、すべての納税者が差し引くことのできる所得控除で一律38万円が無条件で差し引かれます。

支出に関する所得控除とは?

次に「支出に関する所得控除」についてみていきましょう。

支出に関する所得控除

支出に関するものとして挙げられるのが各種保険料です。控除の対象となるのは、会社で天引きされる社会保険、個人が自主的に加入している生命保険、地震保険などです。

会社で給与から天引きされる年間の健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料は、全額所得控除の対象になります。

また、自主的に加入している保険の保険料については、年末調整の時期の2か月ほど前に保険会社から送られてくる控除証明書を会社に提出することで控除してもらえます。地震保険も年間5万円を上限に対象になりますので、保険会社から送られる郵便物は必ず内容を確認して誤って捨てないように気をつけましょう。

住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税とは?

マイホームはいつの時代も高い買い物です。会社員が即金で購入することは難しく、多くの人が住宅ローンを組んで長期に渡って返済することになります。その負担を少しでも和らげるための国の制度が住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン減税です。

住宅ローン減税は、新築住宅または中古住宅の購入や住宅のリフォームで、10年以上のローンを組んだ場合に所得税が戻ってくる制度です。また、住宅の購入に限らず、増改築やリフォーム工事のために5年以上のローンを組んだ場合にも適用されます。

ローンの利用の有無に関わらず、控除が受けられる投資型減税(認定住宅新築等特別税額控除)という制度もあります。それは、何世代もの長期に渡って長持ちする優良住宅や省エネに特化した低炭素住宅を購入した人に、さらに税制面で優遇措置を講じる制度です。ただし、ローン年数や支払い方法によって利用できる減税制度が異なるため確認が必要です。たとえば、繰上返済で支払期間が10年に満たなかった場合は減税措置が無効になることもあるため注意しましょう。

住宅ローン減税の適用を受けるためには、初年度のみ個人で確定申告が必要です。しかし、翌年からは「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を会社に提出することで、会社による年末調整が受けられます。なお、この住宅借入金等特別控除の額は所得から引く控除ではなく、最終的に出された所得税額から直接控除されます。

所得税の計算方法でチェックしてみよう!

所得税の計算方法について説明します。所得税の税率は「②給与所得控除後の金額」から「③所得控除の額の合計額」を引いた課税対象額で以下のとおり税率と控除額が決定します。

所得税の速算表(平成27年分以降)
国税庁「所得税の税率」をもとに作成
※2013年から2037年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。

たとえば、課税される所得金額が500万円の場合は、(500万円×20%)-42万7,500円=57万2,500円が所得税額です。また、復興特別所得税として、所得税額の2.1%の1万2,022円を納めます。住宅ローン控除があればさらにこの金額から引いた額が源泉徴収税額となります。

源泉徴収票の発行時期とは?

源泉徴収票の発行時期はだいたいどこの会社も同じです。なぜなら、給与や報酬を支払う側は、源泉徴収票を2通作成し、翌年の1月31日までに1通を税務署長、もう1通を源泉徴収を行った従業員に交付することが法律で定められているからです。会社勤めの場合は、年に1回、会社から「給与所得の源泉徴収票」が必ず渡されます。

その年の最後の給料の額が確定したあとでなければ最終的な計算ができません。そのため、源泉徴収票を会社から受け取る時期は、通常の場合は12月の給与支給後になることがほとんどです。ただし、年の途中で退職した場合は退職後1か月以内に会社から発行されます。

源泉徴収票を紛失した場合の対処法

源泉徴収票をうっかり紛失してしまった、ということもあるかもしれません。そこで、紛失した場合の手続きについて説明します。

基本的には、紛失してしまっても会社に申請して再発行してもらうことが可能です。税務署や役所ではなく、発行元である勤務先の会社に依頼すれば発行してもらえます。
しかし、円満退職でない場合や担当者が変わった場合など、何らかの理由で再発行を拒否されることもあるようです。そのような場合は、税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出すると、税務署から指導が入るため発行せざるを得なくなります。こうなってしまっては、その後の関係性がさらに悪くなることも考えられます。そのため、あらゆる場面で必要になる重要な書類ですので紛失しないように厳重に保管しておくことが大切です。

まとめ|源泉徴収票を理解して活用しよう!

源泉徴収票は自分の所得税額を知るために大切なものです。源泉徴収票が必要になる場面は、思いのほか多く、予想をしていないときに急に必要になることもあるかもしれません。そのようなときのためにも、紛失しないように大切に保管しておきましょう。

源泉徴収票を受け取っても内容がよくわからないため、そのまましまい込んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、給与計算などを手入力で行っている以上、間違いがないとは言い切れません。金額の数字だけではなく、扶養人数の確認や生命保険などの控除がきちんと反映されているかなど、必ず内容のチェックもしておきましょう。

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