どう変わった?知って納得!配偶者控除丸わかりガイド

2018年1月から大幅に変更された配偶者控除。しかし、具体的にどの部分が変わったのか理解されていない方も多いのではないでしょうか?変更された箇所をきちんと理解しておかないと、配偶者控除を利用する際に予想外の事態が起きてしまい、控除が受けられなくなってしまう可能性もあります。

そこで今回は、配偶者控除についての解説や変更点・注意点についてまとめました。ぜひ今回の記事を参考に配偶者控除の内容をしっかり理解し、今後の税金対策に役立ててください。

そもそも「配偶者」の定義とは

配偶者控除の対象になる「配偶者」とは、民法が定める婚姻関係を結んだ相手のことです。そのため、事実婚や内縁関係の相手に配偶者控除は適用されません。

一方、配偶者控除には夫婦同居は必須ではなく、別居をしている場合でも控除対象になります。しかし、どんな状況でも夫婦が生計を一にしていることが控除を受ける必須条件です。

配偶者控除を受けるためのその他の条件は、配偶者の年間合計所得金額(※)が38万円以下であることです。配偶者控除は主に妻の立場が対象になることが多く、パートのような給与の収入が見込まれることも考えられます。その場合、給与で支払われる収入が103万円以下であることが控除の条件です。

その他にも注意事項がいくつかあります。
例えば、配偶者が自営業者の家族従業員扱いになっていないことです。さらに「青色申告者の事業専従者」や「白色申告の事業専従者」になっている場合も、配偶者控除の対象から外れてしまいますから注意して下さい。

●配偶者控除の対象者となる人の範囲

  1. 民法の規定による配偶者であること
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること
    (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 配偶者が自営業者の家族従業員扱いになっていないこと
    (青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専業者でないこと)

※所得金額とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額のこと
 所得金額=収入金額-必要経費

配偶者控除の内容とは

配偶者控除の内容とは

配偶者控除とは、配偶者に収入がない、または収入があっても少ない場合に、納税者(世帯主)の合計所得金額から一定の金額が控除されるしくみのことです。控除されるとその分だけ所得が少なくなりますので、結果として納税する金額も少なくなります。配偶者控除の金額は、世帯主の年収と配偶者の年齢によって異なり、控除される金額は最大で38万円になります。世帯主の年収に応じて控除額が変動することにも注目してください。

世帯主の年収が1,120万円以下であれば、配偶者が70歳未満(一般控除)であれば38万円、70歳以上(老人控除)は金額が増加して48万円となります。また世帯主の年収が1,120万円超~1,170万円以下であれば、一般控除は26万円(老人控除は32万円)、1,170万円超~1,220万円以下の場合は一般控除が13万円(老人控除は16万円)の金額が控除されます。

詳しいことは後述しますが、従来は配偶者の年収に応じて控除を行っていました。しかし、2018年1月の改正により世帯主の年収が1,220万円を超えると配偶者控除対象外に変わったことは、重要なポイントです。

改正後の「配偶者控除」の控除額
国税庁「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」をもとに作成
※納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けることができません。

配偶者特別控除とは?

「配偶者控除」と似た言葉で、配偶者特別控除があります。配偶者特別控除とは、配偶者の年収が103万円超~201万円以下の場合に適用される控除のことです。 前述の配偶者控除は配偶者の年収が103万円以下の場合に適用されますが、収入がそれを上回ってしまった場合には適用されなくなります。配偶者控除が適用されなかった場合の緩和制度として存在するしくみが配偶者特別控除です。

●配偶者特別控除の対象者となる人の範囲

  1. 民法の規定による配偶者であること
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であること
    (給与のみの場合は給与収入が201万円以下)
  4. 配偶者が自営業者の家族従業員扱いになっていないこと
    (青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専業者でないこと)

配偶者控除と違うところがいくつかありますので、利用する場合は注意が必要です。

配偶者特別控除として控除される金額は、配偶者の所得金額に応じて段階的に減少し、これが配偶者控除とは異なるところです。例えば、配偶者の年収が103万円超~150万円以下であれば、最大控除額の38万円が控除されますが、150万円超~155万円以下は36万円、と全9段階で控除額が減少します。年収が201万円を超えると控除は適用されなくなります。

2018年1月の改正では配偶者特別控除も変更され、上限となる金額に変更がありますが、収入の増加に比例して控除額が減額されることに変更はありません。配偶者特別控除を利用する場合は、収入と控除額のバランスを考えることがとても大切です。

改正後
国税庁「平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて」をもとに作成

改正後の配偶者特別控除の控除額
国税庁「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」をもとに作成
※納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けることができません。

配偶者控除がゼロになるケースも

配偶者控除の改正前と改正後の大きな変更点は、世帯主の年収が1,220万円を超えると控除額がゼロになってしまうことです。実はこれまで配偶者控除に世帯主の所得制限はありませんでした。

改正前は、配偶者の年収が103万円以下であれば一律で38万円(70歳以上であれば48万円)の控除を受けることが可能でした。
しかし、改正後は、配偶者の年収を見るだけでなく、世帯主の年収も見る必要があります。世帯主の年収が1,220万円を超える場合は控除の対象外となり、1,220万円以下でも、1,120万円を超えると段階的に控除が減額されます。

配偶者控除がゼロになるケース
国税庁「平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて」をもとに作成

控除を考慮してパートの年収を103万円以内に調整して働く方も多いかと思います。
これまでは配偶者の収入に注目して控除の調整を行うのが一般的でしたが、今後は世帯主の収入によっても控除額の減額や控除対象外になってしまいますので必ず確認をしてください。

配偶者特別控除の変更内容とは

配偶者控除と同じように配偶者特別控除も2018年1月に改正されましたが、大きな変更点は対象になる配偶者の年収枠の引き上げでしょう。

下の図のとおり、改正前は配偶者の年収が141万円以下であれば控除されましたが、改正後は金額が引き上げられ、配偶者の年収が201万円以下であれば控除されるようになりました。また、年収が150万円以下までは控除の最大金額である38万円が控除されるようになりました。

配偶者特別控除の変更内容
国税庁「平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて」をもとに作成

前述のとおり、配偶者特別控除は収入の増加に比例して段階的に減額されますが、年収201万円以下までが控除の対象になりました。そのため、配偶者の収入が従来より増加しても控除の対象となり、収入を低く設定する必要がなくなります。

しかし、配偶者控除と同じく世帯主の年収が1,120万円を超える場合は控除額の減額。世帯主の所得金額が1,220万円を超える場合は、控除の適用はされませんので注意してください。

103万円の壁と106万円の壁の違いは?

103万円の壁と106万円の壁の違いは?

配偶者控除について調べていると「103万円の壁」「106万円の壁」という言葉をよく目にします。これはそれぞれ税金や世帯主の扶養対象の基準になる金額です。

●「103万円の壁」

103万円というのは配偶者がパートやアルバイトで得られる給与を基にしていますが、年収を103万円以内に抑えた場合は、配偶者控除の対象となりますので配偶者自身が所得税を払う必要はありません。

なお、2018年1月の税制改正で配偶者特別控除の金額が変更され、年収が103万円から150万円までは配偶者控除と同額の38万円になります。「103万円の壁」は「150万円の壁」まで枠が広がっていますが、103万円を超えると所得税が課税される点には注意が必要です。

103万円の壁
国税庁「平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて」をもとに作成

●「106万円の壁」

一方「106万円の壁」は、健康保険や厚生年金など社会保険に関する壁です。
これは、2016年に新たにできた壁で、通常は配偶者の年収130万円がボーダーラインとなりますが、以下の条件を全て満たした場合、配偶者の勤務している会社の社会保険に加入しなければなりません。結果として、扶養から外れることになります。
特に配偶者が大企業で働いている場合やこれから働こうとする場合は、ご注意ください。

  1. 会社の従業員数が501人以上(501人以下でも、労使で合意がなされた場合)
  2. 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上
  3. 雇用期間が1年以上の予定
  4. 学生以外
  5. 月額88,000円以上

「103万円の壁」と「106万円の壁」は考慮される内容が異なるので、間違えないように気をつけましょう。

130万円の壁と150万円の壁

次は、「130万円の壁」と「150万円の壁」です。

●130万円の壁

「130万円の壁」は、「106万円の壁」と同じく健康保険や厚生年金など社会保険に関する壁です。例えば、世帯主が夫で配偶者が妻である場合、妻の年収が130万円を超えてしまうと夫の扶養対象外になります。扶養から外れると、妻はこれまで入っていた夫の会社の社会保険から外されてしまいます。この場合は、妻が新たに自分の勤務先で社会保険に入らなければなりません。もし勤務先で社会保険への加入ができない場合は、国民健康保険と国民年金へ新たな加入が必要です。このように「130万円の壁」は、妻が夫の会社の社会保険へ入ることが可能かどうかの基準になる金額を指します。

●150万円の壁

一方、「150万円の壁」は、2018年1月に配偶者控除が改正になってから新たに作られた言葉です。配偶者の仕事をパートやアルバイトとした場合、これまで配偶者控除が適用されるのは年収103万円が上限でした。しかし、改正によってパートで得た収入が103万円以上になってしまっても、配偶者特別控除の金額が引き上げられたため、150万円以内であれば配偶者控除と同額の38万円の控除を受けることができます(※世帯主の年収が1,120万円以下の場合)。金額が引き上げられたことによって、毎月の収入もさらに増やすことが可能になりました。

ここで注意していただきたいのは、社会保険と配偶者特別控除との違いです。
配偶者の年収が150万円以内であれば配偶者控除の範囲ですが、社会保険からは外れますので前述のとおり夫とは異なる社会保険制度に加入する必要があります。このように、収入を増加させることで健康保険や厚生年金が給与から天引きされてしまうこともあります。しかし、配偶者が勤務先の社会保険に加入することはデメリットばかりではないので、どの制度を優先させるかは家族で話し合う必要があるでしょう。

201万円の壁もある?

2018年1月の改正により、新たに「201万円の壁」ができたのではないかと話題になっています。201万円とは、配偶者特別控除を受けることができる年間給与収入のことです。

前述のとおり、配偶者特別控除は世帯主の年収が1,220万円以下で、配偶者の年収が201万円以下であれば控除を受けることができます。

このように配偶者特別控除の枠が広がったことで、配偶者の働き方や収入の増加にも大きく影響されます。健康保険や年金の扶養からは外れてしまいますが、配偶者特別控除は適用されますので世帯主が支払う税金の負担が和らぎます。給与天引きの支出を考えても、収入を増やすことは家計にもプラスに作用する可能性があります。妻がパートやアルバイトで収入を得たいと考えている場合、控除を受けられるボーダーラインとして「201万円の壁」は重要なキーワードです。

まとめ|制度を理解して働き方を考えよう!

内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書平成28年版」によると、1997年以降は、共働き世帯が専業主婦世帯を上回っており、共働き世帯は年々増加しています。そして、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に反対する人の割合は、男女とも増加傾向にあるそうです。人口が減少する中、女性の社会進出をさらに促進するためという名目で税制も改正されました。

収入を増やすことは、モチベーションを維持することにつながりますので、とても大切なことです。ただ、無計画に収入を増やすだけでは、勤務時間が長くなっただけで、思い描いていたほど手元に残らなかったということにもなりかねません。

そして、注意していただきたいのは、変更されたのは税制のみで社会保険は変更されていないことです。混同しやすいので、気をつけてください。

夫の社会保険から外れた妻が、新たに健康保険や年金を自分で支払うことで、支出が増加する場合もあります。しかし、社会保険に加入することで将来の年金額が増えるといったメリットもありますので、目先の支出だけに注目せず、この先どのような影響があるのかもきちんと考えながら、世帯に合った働き方を検討していきましょう。

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