実はよくわからない。「先進医療」って?
「先進医療」という言葉はよく聞くけど、内容はよくわからないという方は多いのではないでしょうか。今回は「先進医療」に関する基本的なことをまとめてみました。
●「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める高度な医療技術です。
先進医療は、最先端の高度な医療技術のなかで、厚生労働大臣が安全性と有効性を確保するために基準を定め、認められた技術のことをいいます。最先端の医療=先進医療ではありません。
●「先進医療」が受けられる病院は決まっています。
先進医療は、医療技術ごとに、対象となる病気や症状、実施する保険医療機関が特定されていて、厚生労働省が定めた基準を満たした医療機関でのみ受けられます。
※令和5年6月30日時点 実施医療機関数 477施設
●「先進医療」と認められるものは、追加されたり、削除されたり都度見直されます。
先進医療とは、将来保険の対象として導入できるかの評価を行う療養(「評価療養」と言います)ですので、新たに追加されるものもあれば、保険診療への導入が決まり先進医療から削除されるもの、保険診療への導入にはそぐわないと削除(承認取消等)されるものもあります。例えば、2019年度の実施件数第1位だった白内障治療の「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」も「先進医療」から外れ、一部は保険診療となりました。
- <先進医療の数>
- ※令和元年6月30日時点 88
- ※令和5年6月30日現在 81
「先進医療」は、保険適用外なので自己負担
通常、保険適用外の診療と、保険適用の診療を併用した場合、保険適用の診療も含めて医療費の全額が自己負担となります。
「先進医療」は保険適用外なので費用は自己負担ですが、通常の治療と共通する、診療、検査、投薬、入院等の費用については、「保険外併用療養費」として保険給付が行われます。
●「先進医療」の自己負担額(技術料相当額)を保障してくれるのが、「先進医療特約」です。
令和4年度実績報告データによると、例えばガンの先進医療の自己負担額は次の通りです。
- ※陽子線治療 1,293件実施 1件あたり約269万円
- ※重粒子線治療 562件実施 1件あたり約316万円
一般的な「先進医療特約」では、このような費用を保障してくれます。上記のような高額な自己負担が発生する場合を考えると安心ですね。
最近よく聞く「患者申出療養」と「先進医療」の違いは?
「先進医療」は、医療機関が起点となって、高度で先進的な医療を実施するものであるのに対し、「患者申出療養」は、患者さんの申出が起点となり、未承認薬等の使用について安全性が一定程度確認された上で、身近な医療機関において実施できる仕組みです。
未承認薬など保険適用外の費用については、原則自己負担ですが、保険適用の部分は、先進医療と同様に「保険外併用療養費」として保険給付が行われます。
「未承認薬をできるだけ早く保険外併用療養として使いたい」
このような患者さんの思いにこたえるための制度です。医療の進歩は目覚ましいので、こうした制度は心強いですね。
なお、「先進医療特約」のように、「患者申出療養」の自己負担額部分(技術料)を保障する保険もありますので、ぜひ一度ご確認ください。
ご加入中の保険の「先進医療特約」をチェック
今回は、「実はよくわからない」という方が多い「先進医療」を取り上げさせていただきました。
「先進医療」や「患者申出療養」が保険診療と併用できるのは、先進的な療養を受ける患者さんの負担を、少しでも軽くするためだと思います。
さらに自己負担部分を「先進医療特約」などの保障でカバーできれば、ご自身もご家族も、ご安心いただけるのではないでしょうか。
この機会に、以下の点も含めご加入中の保険の「先進医療特約」をチェックしてみてください。
- ◆先進医療の対象は?
例えばガン保険の先進医療特約の場合は、ガンの先進医療だけが対象の場合があります。
- ◆保障される期間は?
特に更新型の医療保険などにご加入の方はご注意ください。
- ◆治療費が高額な場合は?
高額な先進医療を受けた場合、まず自分で病院に支払うのか、保険会社が直接病院に支払ってくれるのか。保険会社や商品によって異なります。
医療の保険は、国の制度や医療技術の進歩に合わせて、変わっていく傾向があります。ご加入後、しばらく確認されていない方は、この機会にチェックしてみてください。
お手伝いさせていただきます。