損害保険会社の社名には、なぜ「海上」がつく?
損害保険の始まりは海上保険から
損害保険会社は、社名に「海上」という言葉を含む会社が複数あります。
例えば東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、日新火災海上保険など。
海上保険とは、主に航海上の事故による船や積荷の損害を担保する保険です。
その始まりは古代ギリシャという説もありますが、大きく発展したのは14、15世紀頃からといわれています。
損害保険は海上保険から始まっているのです。
日本の損害保険も海上運送から始まっており、1879年に日本初の海上保険会社「東京海上保険会社」が誕生し、その後1888年に最初の火災保険会社「東京火災保険会社」が誕生しています。
そうした歴史的背景から「海上」という言葉が社名に含まれているのでしょう。
しかし、「海上保険」という言葉は私たちの生活と馴染みは薄く、保険会社の売上比率においても今は高くないようです。
例えば「東京海上ホールディングス」の国内保険事業における正味収入保険料(2022年度)のうち、「海上保険」が占める割合は3.32%です。(火災保険17.13%、自動車保険48.01%)※1
また、(一社)日本損害保険協会の会員会社全体でも、正味収入保険料(2022年度)のうち「海上保険」が占める割合は2.67%です。(火災保険18.56%、自動車保険46.49%)※2
保険料収入の比率が高くないにも関わらず、社名に「海上」という言葉が残されている理由は、歴史的背景によるものだけなのかというと、そうではないようです。実は日本の海上保険の取り扱いは、イギリスや中国とともに世界トップランクのシェアであり、そのような事実も「海上」の文字が残されている理由なのかもしれません。いずれにしても海上保険は海に囲まれた日本の貿易や産業を支える重要な保険であることに間違いありません。
同じようなことが「火災保険」にもいえます。
例えば、損害保険ジャパン(株)の保険金支払いの事故件数ランキングを見ると、
- 1位 水災・風災・雪災など
- 2位 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)
- 3位 漏水などによる水濡れ
となっており、「火災」は事故件数では6位です。
このことから、「今は火災保険の主役は火災補償ではない」と思われるかもしれませんがそれは違います。
上記データ上の保険金の平均支払額では、「火災」が1位なのです。
他の事故件数より少なくても、起きた時の損失は大きいということですので、やはり火災の補償は重要です。しっかりと備えていただきたいと思います。
また、事故件数が多い事故に関しても、しっかり備えていただきたいと思います。 例えば、事故件数が2位の「不測かつ突発的な事故(破損・汚損)」の補償は、
- ・お子様がボールを投げてテレビの画面を壊した
- ・家具を移動する際、壁に穴をあけた
- ・デジカメを床に落として壊してしまった
など・・・
火災や自然災害などの大きな事故ではなく、日常のうっかり事故を補償してくれます。 ただし、家財に対する補償を受け取るためには、「建物」だけでなく「家財」の保険にもきちんと加入されていることが前提となります。また、設定した免責金額以下は補償されませんので、契約時には注意が必要です。
他にも、日常の補償として
- ・盗難事故に対する補償
- ・バックや腕時計など身の回りの持ち物に対する携行品損害特約
- ・他人に損害を与えて賠償責任を負ったときの個人賠償責任特約
- ・悪質な住宅修理トラブルの際の弁護士費用特約
など・・・
さまざまな補償が用意されています。
時代の変化とともに、火災保険は「住まいの保険」から「暮らしの保険」に変わってきています。
火災保険を有効に活用できるよう、私たちがお手伝いをさせていただきます。
住宅を購入されたとき、お引越しをされたとき、またご加入中の火災保険を更新される前に、ぜひ私たちにご相談ください。
【出典】損害保険ジャパンホームページ「2021年度個人用火災保険 保険金支払実績」より
(※1)「東京海上ホールディング 有価証券報告書2023年3月期」より
(※2)「(一社)日本損害保険協会 種目別統計表(2022年4月~2023年3月)」より